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毛布の「+4℃」とは?
JISが測るのは℃でなく%

そもそも、どんな商品か

毛布に書かれている暖かさの数字についての記事です。「+4℃」のような表示と、JISが決めている測り方の関係を確認しました。

特定の商品を批判する記事ではありません。数字が何を測ったものかを、公開されている情報から確かめられるかという話です。

まず結論だけ

  • 毛布13点のうち11点が商品名に「+4℃」か「+2℃」を掲げていました
  • JISが決めている暖かさの測り方は「保温率(%)」です。℃ではありません
  • その+4℃の測定条件を書いた商品は0点。比べる相手が何かも分かりませんでした
  • 「シングル」が140×200cmと150×210cmの2種類あります。毛布に寸法の規格はありません

13点の内訳を見る →

エムールで毛布を見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

毛布の売り場には「+4℃」という数字が並んでいます。

実際に売られている毛布13点を1点ずつ開いて数えました。商品名に「+4℃」または「+2℃」を掲げていたのは11点です。

一方で、日本産業規格(JIS)には毛布の試験方法がちゃんとあります。 暖かさの項目もあります。ただし単位は℃ではなく、「保温率(%)」でした。

この2つは別の数字です。 そして「+4℃」が何と比べて4℃なのか、どういう条件で測ったのかを書いた商品は、13点中0点でした。

集計と資料は2026年8月24日に確認しています。

結論:毛布には「測り方」だけがあって「合格ライン」がありません

先に答えを書きます。

毛布について
JIS L 1098 毛布試験方法。測る項目
7つを決めている
製品規格
(寸法・品質)
見当たりません
家庭用品品質表示法 繊維の組成/洗濯表示
/表示者名

JISがあるのは「測り方」だけです。 「保温率が何%以上なら合格」という線は、どこにも引かれていません。

布団のほうには製品規格(JIS L 4403)があり、寸法や中わたの量が決まっています。毛布にはその製品規格が見当たりませんでした。敷き布団の厚さは何cm?

13点のうち11点が「+4℃」か「+2℃」でした

エムールの毛布カテゴリ13点を数えました。

商品名の表記 点数
+4℃ 7点
+2℃ 4点
表記なし 2点

13点中11点、率にして8割以上です。 価格は2,990〜9,990円、中央値(=小さい順に並べたとき、ちょうどまん中に来る値)は6,590円でした。

そのうえで、数字の中身がどこまで書かれているかを数えました。

商品ページの記載 13点中
「+4℃」「+2℃」 11点
試験方法・測定条件
・試験機関
0点
「保温率」の語 1点
目付(g/m²) 9点

測定条件を書いたものが1点もありません。

これは「表示が間違っている」という指摘ではありません。公開されている文章からは、その数字が何を測ったものか確かめられなかったという意味です。商品画像の中に書かれている可能性までは確認できていません。この13点はエムール1店舗の掲載品で、市場全体の割合ではありません。

JISが決めている毛布の測り方は、7つあります

JIS L 1098:2009「毛布試験方法」を読みます。1986年に制定され、1992年と2009年に改正されている規格です。

測る項目は7つでした。

項目 測るもの
幅・長さ cm(小数点以下1けた)
質量 1m²当たりのg
保温性 保温率(%)
引張強さ・伸び率 N・%
染色堅ろう度
寸法変化率

出典:JIS L 1098:2009 毛布試験方法(確認日 2026-08-24)

幅と長さの測り方が、少し変わっていました。

毛布を平らな台の上に置き、不自然なしわ及び張力を除いた状態で、中央部の幅 (cm) を小数点以下1けたまで測る。

中央部を測ります。 そして幅と長さの試験だけは「毛布全体を試験片とする」と書かれています。

質量は、切り取って量ります。

試料から約200 mm×200 mmの試験片3枚を採取し、それぞれ試験片の標準状態における質量 (g) を量り、その平均値を(中略)1 m2当たりの質量 (g/m2) で表す。

この単位が、あとで効いてきます。

エムールで毛布を見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

保温性は「保温率(%)」で測ります

7つのうち、暖かさに当たるのが保温性です。 JIS L 1098はこう書いています。

保温性は、JIS L 1096の8.28(保温性)による。

そこで JIS L 1096 のほうを読みました。A法(恒温法)の手順です。

試料の異なる2か所から試験片約300 mm×300 mmを、それぞれ1枚採取する。(中略)試験片を恒温発熱体に取り付け、低温度の外気に向かって、流れ出す熱量が一定となり、発熱体の表面温度が一定値を示すようになってから2時間後に試験片を透過して放散される熱損失を求める。これと試験片のない裸状のままで同様の温度差、及び時間に放散される熱損失を測定する。

発熱体に毛布をかぶせたときと、何もかけない裸のときを比べます。 そして計算式がこれです。

記号 意味
Wr 保温率(%)
a 発熱体の裸状における放熱量
b 発熱体に試料を取り付けたときの放熱量

Wr =(1 − b ÷ a)× 100

出典:JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法 8.27/8.28 保温性(確認日 2026-08-24)

熱が逃げるのをどれだけ抑えたか、を%で出すという考え方です。℃は出てきません。

そして規格は、条件を書き残せと求めています。

外気と発熱体表面との温度差、風速、方向などの条件を試験報告書に付記する。

条件を付記しろと書いてあるということは、条件が変われば数字も変わるということです。

JIS L 1098がもとにしているのは「JIS L 1096の8.28」ですが、当サイトが読んだJIS L 1096では保温性は8.27で、8.28は耐光性でした。改正で番号がずれたものと思われます。中身は同じ保温性の試験です。

「+4℃」が何を測ったかは、商品ページからは分かりませんでした

では「+4℃」は何なのか。

11点の商品名と本文を読むと、いずれも「吸湿発熱」という言葉と一緒に出てきます。汗などの水分を繊維が吸うときに熱が出る、という性質のことです。 商品説明にはこう書かれていました。

発熱素材「エムールヒートプラス」が汗を熱に変え、寝ている間も布団内をポカポカに保ち続けます。

保温とは仕組みが違います。 保温は「熱を逃がさない」、吸湿発熱は「熱を出す」です。

問題は、その4℃の出どころです。 当サイトが13点の商品ページ本文を機械的に検索した結果は、次のとおりでした。

  • 「試験方法」「測定条件」「試験機関」「JIS」のいずれの語も0点
  • 「保温率」1点だけ

当サイトが確認した範囲では、吸湿発熱による温度上昇を測る方法は、JIS L 1098にも、それがもとにしているJIS L 1096の保温性にも入っていませんでした。

つまり、こういうことになります。

分かること
保温率(%) JISに測り方がある
ただし表示は0点
+4℃ 表示はある。ただし
測り方は確認できず

測り方が決まっているほうは表示されず、表示されているほうは測り方が分からない、という形になっていました。

繰り返しになりますが、これは表示が誤りだという指摘ではありません。買う人が数字を突き合わせられない、という状態の説明です。「+4℃」どうしを比べるぶんには、同じ会社の同じ試験なら比較の役に立つ可能性があります。

目付(g/m²)だけは、JISと同じ単位で出ています

暗い話ばかりではありませんでした。 13点のうち9点が、生地の重さを g/m² で公表しています。

これはJIS L 1098の7.3が決めている単位そのものです。 実際に出ていた数字を並べます。

記載されていた目付 使われ方
50・80 g/m² 中わた
150 g/m² 生地
280 g/m² ロングパイル
フランネル8mm
350 g/m² ラビットファー生地

目付は「1m²あたり何グラムか」です。 数字が大きいほど、その生地は密で重いことになります。

多層になっている商品は、層ごとに書いてありました。 たとえば6層構造の商品は、表生地350g/m²・中わた80g/m²・裏生地・中わた80g/m²…というふうに分けて書かれています。ここは比べられます。

エムールで毛布を見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

「シングル」が140×200cmと150×210cmの2種類あります

もう1つ、実用的な発見がありました。

シングルの寸法 点数
140×200cm 5点
150×210cm 4点

同じ「シングル」で、2種類あります。 面積にして約12%の差です。

これは大きさの好みの問題ではありません。使い方が違います。

  • 140×200cm=掛け布団の上から掛ける、体に巻く
  • 150×210cm=掛け布団カバーの中に入れる(掛け布団と同じ寸法)

実際、150×210cmの側の商品名には「布団カバー」という語が入っていました。カバーの中に入れて使うことを想定した毛布です。

毛布には寸法の規格がありません。 JIS L 1098は測り方を決めているだけで、「シングルは何cm」とは決めていません。掛け布団のほうにはJIS L 4403の寸法表があるのとは対照的です。

掛け布団のシングルは、JISでは135×195cm(略号S)ですが、店頭で「シングル」として売られているのは150×210cm(略号L1)です。→ 掛け布団のサイズは何cm?JISのSはシングルではありません

品質表示法では、毛布は布団と別の品目です

表示の義務も確認しました。 毛布は、家庭用品品質表示法で布団とは別の品目として扱われています。

表示の義務
毛布 繊維の組成/洗濯表示
/表示者名等
布団 繊維の組成/表示者名等

毛布には洗濯表示の義務があり、布団にはありません。 同じ寝具でも扱いが違います。

対象の範囲にも、細かい線引きがありました。

毛製毛布に限らず合成繊維製毛布、綿製毛布等のあらゆる繊維製の毛布であり、掛毛布、敷毛布、ベッド毛布等がある

そして「ひざ掛け毛布」と「角巻等は含まれない」とされています。

出典:消費者庁 家庭用品品質表示法 毛布(確認日 2026-08-24)

ひざ掛けは「毛布」ではない、という整理です。寸法も暖かさも義務ではありませんが、洗い方は必ず書いてあります。

では、何を見ればいいのか

暖かさの数字が突き合わせられないので、別のところを見ることになります。

1つめ。目付(g/m²)を見る。 13点中9点が公表していて、JISと同じ単位です。 同じ店の商品どうしなら、生地の密度を比べられます。

2つめ。寸法を確認する。 「シングル」だけでは140×200cmか150×210cmか決まりません。 カバーの中に入れるなら、掛け布団と同じ150×210cmを選ぶことになります。

3つめ。「+◯℃」は、同じ会社の中での序列として読む。 測定条件が公表されていないので、別の会社の数字とは比べられません。 同じシリーズの中で「+2℃より+4℃のほうが上位」という読み方までが、確実に言えるところです。

4つめ。洗濯表示は必ず付いています。 毛布は義務なので、家庭で洗えるかどうかは買う前に分かります。 ここは布団より条件がよい点です。

まとめ

  • ⭐実際に売られている毛布13点のうち、11点が商品名に「+4℃」か「+2℃」を掲げていました
  • JISが決めている暖かさの測り方は「保温率(%)」です。℃ではありません
  • 保温率は発熱体に毛布をかけたときと、裸のときの放熱量を比べて出す数字で、Wr=(1−b÷a)×100 です
  • 規格は「温度差、風速、方向などの条件を試験報告書に付記する」と求めています。条件で数字が変わるからです
  • その「+4℃」の試験方法・測定条件・試験機関を書いた商品は0点。「保温率」の語があったのも1点だけでした
  • 毛布には製品規格が見当たりません。 JIS L 1098は測り方だけを決めた規格です
  • 目付(g/m²)は9点が公表していて、これはJISと同じ単位です(50〜350g/m²)
  • 「シングル」は140×200cmと150×210cmの2種類。カバーに入れるなら後者です
  • 毛布には洗濯表示の義務があり、布団にはありません。 ひざ掛け毛布と角巻は「毛布」に含まれません

布団側の規格は、敷き布団の厚さは何cm?にまとめています。

エムールで毛布を見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます
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この記事の出典

この記事は、①JIS L 1098「毛布試験方法」の本文、②そこが参照するJIS L 1096の保温性の項、③家庭用品品質表示法(消費者庁)の毛布のページを読み、そのうえでエムールの毛布カテゴリ13点の商品ページから商品名の表記・寸法・目付・価格を取得して集計したものです。すべて2026年8月24日に確認しました。

集計について。 「試験方法・測定条件・試験機関の記載0点」は、商品名と商品ページ本文に「試験方法」「測定条件」「試験機関」「JIS」のいずれの語も含まれなかった、という機械的な検索の結果です。商品画像の中に書かれている可能性までは確認できていません。 また、この13点にはメーカー1社のシリーズが多く含まれており、毛布全体の傾向ではありません。 13点のカテゴリには、毛布のほかに掛け布団カバー・掛け布団・着る毛布・タオルケットとのセットも並んでいます。寸法の集計は、商品ページに記載のあったものだけを数えています。掲載点数と価格は変動します。

「製品規格が見当たりません」という書き方について。 これは当サイトが公開されている規格の一覧と本文を探した範囲での結果です。業界内部の基準や、各社が個別に定めた社内基準までは確認できていません。

  • JIS L 1098:2009 毛布試験方法 — 試験の種類7つ(幅・長さ・質量・保温性・引張強さ及び伸び率・染色堅ろう度・寸法変化率)/7.1と7.2は毛布全体を試験片とし中央部を小数点以下1けたまで測る/7.3は約200mm×200mmを3枚採取し1m²当たりの質量で表す/7.4「保温性は、JIS L 1096の8.28(保温性)による」/1986年制定・1992年改正・2009年改正/対応国際規格は制定されていない
  • JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法 — 保温性A法(恒温法)/試験片約300mm×300mmを2か所から1枚ずつ/発熱体の表面温度が一定になってから2時間後/保温率Wr=(1−b/a)×100/aは裸状の放熱量・bは試料を取り付けたときの放熱量/温度差・風速・方向などの条件を試験報告書に付記する
  • 消費者庁 家庭用品品質表示法 毛布 — 対象は繊維製の毛布全般(掛毛布・敷毛布・ベッド毛布等)/ひざ掛け毛布と角巻等は含まれない/表示事項は繊維の組成・家庭洗濯等取扱方法・表示者名等
  • エムール公式オンラインショップ 毛布(ブランケット) — 13点の商品名・寸法・目付・価格(確認日 2026-08-24)

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