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オフィスチェアが高い理由
6,664点を数えたら可動肘が15倍でした

そもそも、どんな商品か

オフィスチェアの値段の差が何の差なのかを数えた記事です。オフィス家具通販に掲載されている作業用チェア6,664点を価格帯ごとに分け、商品名に書かれた機能と、表示されている保証年数を集計しました。あわせてオカムラ・コクヨ・イトーキ3社の品質保証規定を読み、「8年保証」「10年保証」が何を指しているかを確認しています。

高いオフィスチェアを勧める記事ではありません。高いほうが体に合うかどうかは、座ってみないと分かりません。代わりに、値段が上がると商品側の何が増えるのか(動く箇所と保証)と、その保証が実際にはどこまでを指しているのかを、数字と規定の原文で確かめて書いています。

まず結論だけ

  • ⭐高い椅子で増えるのは「動く箇所」です。上下左右に動く肘掛けは1万円未満で2.2%、10万円以上で33.6%でした
  • ⭐保証の境目は5万円です。3年以上の保証が付く割合が12.7%から74.5%に変わります
  • ⚠️ただし「8年保証」は構造体だけです。肘・ガススプリングは2年、メッシュは1年でした
  • ⭐この1年・2年・3年という3層は、オカムラ・コクヨ・イトーキの3社とも同じでした

6,664点を数えた表を見る →

Kagg.jpでオカムラ・コクヨのチェアを見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

1万円のオフィスチェアと、15万円のオフィスチェア。値段は15倍違います。

では、中身は何が15倍なのでしょうか。

数えてみました。上下にも左右にも動く肘掛けが付いた椅子は、1万円未満では2.2%。10万円以上では33.6%あります。

値段が上がると増えるのは、装飾ではなく「動く箇所」でした。

そしてもうひとつ、値段とはっきり結びついていたものがあります。保証です。ただしその「8年保証」は、椅子ぜんぶを8年守るという意味ではありませんでした。

高い椅子を選ぶときにいちばん効くのは、どこが何年もつのかを先に知っておくことです。

掲載点数の集計は2026年8月20日取得分、メーカーの保証規定は2026年8月29日に確認しています。

結論:増えるのは「動く箇所」、保証は5万円で変わります

先に結論です。

値段が上がると どうなるか
動く箇所 増える(可動肘 2.2%→33.6%)
腰の出っぱり 増える(ランバーサポート 6.7%→43.4%)
保証の年数 5万円を境に変わる(3年以上が12.7%→74.5%)
保証の中身 変わらない(肘は2年、メッシュは1年のまま)

いちばん大事なのは最後の行です。「8年保証」と書かれた椅子でも、いちばん先に壊れる肘やガススプリング(座面を上下させる、ガスの入った筒)は2年、メッシュの生地は1年しか保証されません。

8年保証されるのは「構造体」、つまり骨組みの強度だけです。

6,664点を価格帯ごとに数えました

オフィス家具通販のオフィスコムに掲載されている椅子7,389点のうち、会議椅子・ミーティングチェア・スツール・折りたたみ椅子など725点を除いた、作業用チェア6,664点を価格帯ごとに数えました。

まず、商品名に機能が書かれている割合です。

価格帯 点数 可動肘 ランバー
サポート
ヘッド
レスト
1万円未満 45 2.2% 6.7% 13.3%
1万〜3万円 344 5.5% 8.1% 4.4%
3万〜5万円 315 8.9% 10.5% 13.0%
5万〜10万円 1,587 14.7% 27.3% 2.1%
10万円以上 4,373 33.6% 43.4% 31.0%

用語を先に説明します。可動肘は、高さや左右の位置を動かせる肘掛けのことです(商品名では「アジャストアーム」とも書かれます)。ランバーサポートは、背もたれの腰のあたりにある出っぱりです。ヘッドレストは頭を支える部分です。

可動肘とランバーサポート(=背もたれの腰のあたりにある出っぱり)は、価格帯が上がるときれいに増えています。可動肘は2.2%から33.6%へ15倍、ランバーサポートは6.7%から43.4%へ6.5倍です。

ヘッドレストだけは、きれいに増えません。 5万〜10万円の帯で2.1%まで落ちてから、10万円以上で31.0%に跳ね上がります。この帯にはヘッドレストのない事務用の椅子が多く含まれているためで、値段の順に増える項目ではないということです。

同じように増えるものが、ほかに2つあります。メッシュ(背や座に張られた網状の生地)は1万円未満の11.1%から10万円以上の49.3%へ、ハイバック(背もたれの高い形。どこまで支えるかは背もたれの記事にまとめています)は2.2%から43.5%へ増えます。

なお、上下左右に動く肘掛けとランバーサポートとヘッドレストの3つがすべて商品名に書かれている椅子は、6,664点中175点(2.6%)でした。中央値(=小さい順に並べたとき、ちょうどまん中に来る値)は174,900円です。

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「8年保証」は構造体だけです

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

次に、保証の表示を数えました。

価格帯 3年以上の
保証あり
価格の
中央値
1万円未満 6.7% 7,720円
1万〜3万円 5.8% 20,700円
3万〜5万円 12.7% 39,990円
5万〜10万円 74.5% 78,870円
10万円以上 63.7% 152,100円

3万〜5万円と5万〜10万円のあいだで、12.7%から74.5%へ跳ね上がります。 保証の境目は5万円でした。

ところが、その「長い保証」の中身を規定で確かめると、話が変わります。オカムラの品質保証は3つの区分に分かれていて、8年が付くのは構造体だけです。

保証の区分 不具合の例 オカムラ コクヨ イトーキ
外装・
表面仕上げ
メッシュ・レザーの
摩耗、塗装の変色
1年 1年 1年
機構部・
可動部
肘・ヘッドレスト・
ガススプリングの故障
2年 2年 2年
構造体 強度・構造にかかわる
破損
3年
または8年
3年
または10年
3年

3社とも、1年・2年・3年という同じ3層でした。 長期保証を用意しているオカムラとコクヨも、伸ばしているのは構造体の年数だけです。

つまり、さきほどの表で価格とともに増えていた「動く箇所」は、そのまま「2年しか保証されない箇所」です。 高い椅子ほど可動部が多く、その可動部の保証は2年で終わります。

長期保証には条件も付いています。

  • オカムラの8年は、2021年1月1日以降に購入した18のシリーズ(コンテッサセコンダ、バロン、シルフィーなど)に限られます
  • コクヨの10年は、2023年1月以降に購入した製品が対象です
  • どちらも中古品・ネットオークション品・個人売買品は対象外です。オカムラは「一度でも使用した中古品の譲渡」を明記して除外しています
  • 想定されているのは1日8時間程度の使い方です。24時間体制での使用は保証期間の前提に入っていません

「高級オフィスチェア 中古」という調べ方をする方は多いのですが、中古で買った時点で、この長期保証は付いてきません。

保証が「無い」のではなく「表示されていない」椅子があります

ひとつ、数字の読み方に注意が必要な点があります。

10万円以上の帯で3年以上の保証が付くのは63.7%で、5万〜10万円の74.5%より低く出ています。値段が上がったのに保証が減ったように見えますが、そうではありません。

メーカーごとに分けると理由が分かります。

メーカー 点数 保証年数の表示
オカムラ 3,038 8年が90%
イトーキ 1,613 表示なしが100%
コクヨ 970 10年が80%

イトーキの1,613点には、保証年数の表示が1点もありません。 けれども、イトーキ公式サイトの品質保証には「1年・2年・3年」とはっきり書かれています。保証が無いのではなく、この通販サイトの商品ページに表示されていないだけです。

10万円以上の帯で保証表示が無い商品の多くは、このイトーキでした。表示の有無を、そのまま製品の差だと読まないでください。

15万円の椅子は、3社でほぼ決まります

もうひとつ数えました。14万〜16万円という価格帯にある椅子は1,030点あり、そのうち96.5%がイトーキ・オカムラ・コクヨの3社です。

メーカー 14万〜16万円の点数
イトーキ 511
オカムラ 402
コクヨ 101
その他7社 16

この価格帯を検討するということは、実質的にこの3社から選ぶということになります。逆に言えば、3社以外の椅子をこの値段で買うときは、保証の条件を自分で確かめる必要があります。

母集団について正直に書いておきます

この集計には、読むときに知っておいていただきたい限界が3つあります。

1つめ。これは「商品名に書いてあるか」の集計です。 商品名に「可動肘」と書いていない椅子に可動肘が無い、という意味ではありません。仕様表には書かれているのに商品名に入れていない商品は当然あります。分かるのは「メーカーがその値段帯で何を売り文句にしているか」までです。

2つめ。1万円未満は45点しかありません。 1点が2.2%に相当するので、この帯の割合は大きく振れます。ここは「傾向」以上には読めません。

3つめ。業務用のオフィス家具通販1店のデータです。 家庭用の量販店で売られている1万円台の椅子は、この6,664点にほとんど含まれていません。10万円以上が4,373点(65.6%)を占めるのは、そういう品ぞろえの店だからです。

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では、何を見て選べばいいのか

ここまでの数字から言えることは3つです。

1つめ。値段の差は「動く箇所」の差です。 ですから、自分が動かしたい箇所が動くかで選ぶのが筋が通っています。座面の高さが合わないなら座面高(=床から座面までの高さ)、机に肘掛けがぶつかるなら肘の高さ、というように、困っている場所から逆算してください。国の指針が挙げている4つの寸法はオフィスチェアの腰痛対策にまとめています。

2つめ。保証は年数ではなく「区分」で見てください。 「8年保証」の4文字だけを見て安心しないことです。あなたが心配している箇所が、1年・2年・3年のどれに入るのかを確かめてください。ガススプリングが下がってくる、肘がぐらつく、といったよくある故障は、どのメーカーでも2年です。

3つめ。中古を選ぶときは、保証は無いものとして考えてください。 3社とも中古品・個人売買品を保証の対象外と明記しています。

なお、椅子そのものの寿命については別の記事にまとめています。業界団体が定める回転椅子の目安は8年ですが、それは保証期間ではありませんオフィスチェアの寿命は何年?)。

まとめ|オフィスチェアが高い理由は「動く箇所」。その動く箇所ほど保証は短い

オフィスチェアが高い理由は、動く箇所が増えるからでした。 上下左右に動く肘掛けは1万円未満の2.2%から10万円以上の33.6%へ、ランバーサポートは6.7%から43.4%へ増えます。

保証の境目は5万円で、3年以上の保証が付く割合が12.7%から74.5%に変わります。ただしその長期保証は構造体だけで、肘やガススプリングは2年、メッシュは1年です。この3層はオカムラ・コクヨ・イトーキの3社とも同じでした。

そして、増えていく「動く箇所」は、そのまま「2年で保証が切れる箇所」でもあります。高い椅子を選ぶときは、この2つをセットで見てください。

保証年数が一覧に出ている売り場なら、この2つをその場で照らし合わせられます。 Kagg.jpはオカムラ・コクヨ・イトーキなどのメーカー品を扱っていて、保証の規定はメーカー側が公開しています。オフィスコムは、今回6,664点を数えた売り場で、一覧に保証年数のアイコンが出ます。そのアイコンの「最大8年」は構造体の年数です。肘・ガススプリング・メッシュの年数は、商品ページの保証欄で確かめてください。

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オフィスコムでオフィスチェアを見る ※ 販売サイトに移動します

この記事の出典

集計の方法は次のとおりです。オフィスコムのオフィスチェア一覧に掲載されている7,389点の商品名・税込価格・メーカー名・表示アイコンを取得し、商品名に「ミーティングチェア」「会議椅子」「スツール」「ソファ」「ロビーチェア」「折りたたみ」「ネスティング」「パイプ椅子」を含む725点を除いた6,664点を対象としました。機能の有無は商品名に該当する語が含まれるかどうかで判定し、保証年数は商品ページに表示されているアイコン(「メーカー保証最大8年」など)の数字を読み取っています。仕様表の中身までは確認していません。

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