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オフィスチェアの背もたれはどこまで必要?
規格は肩甲骨の下です

そもそも、どんな商品か

オフィスチェアの背もたれの高さ座面の幅についての記事です。背中のどこまでを支える背もたれを選べばよいか、という話です。

「ハイバック=良い椅子」という話ではありません。規格は高い背もたれを、後ろに寄りかかる姿勢が中心の仕事に推奨しています。用途で変わります。

まず結論だけ

  • JISは低い背もたれを「肩甲骨の下の高さで終わる」のが望ましいとしています
  • 実測に当てはめると座面から380.0〜500.3mm。ここが低い背もたれの上端です
  • 高い背もたれは「後傾姿勢が主となる仕事」向けと用途が指定されています
  • 100点中、背もたれの高さは1点・座面幅は2点しか書かれていませんでした

4つの寸法の記載率を見る →

オフィスコム公式サイトでオフィスチェアを見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

オフィスチェアを選ぶとき、背もたれは「高いほうが良さそう」と思いがちです。

ですが規格を読むと、低い背もたれには「どこで終わるべきか」がはっきり書かれていて、高い背もたれには用途の指定がありました。

そして商品ページには、その高さがほとんど書かれていませんでした。100点中1点です。

制度・データは2026年8月11日時点で確認しています。

結論:規格は「肩甲骨の下で終わる」と書いています

先に答えを書きます。

JIS Z 8515は、低い背もたれの形をこう定めています。

「低い背もたれはでん(臀)部の凸部を避ける位置から始まって、腰部の中央に凸部をもち、上体の動きを妨げないように肩甲骨の下の高さで終わるのが望ましい」

出典:JIS Z 8515:2002 5.5.4 背の支持(確認日 2026-08-11)

3つのことが書かれています。

  • 下端 — お尻の出っ張りを避けた位置から始める
  • 中間 — 腰の中央に出っ張り(ふくらみ)をもつ
  • 上端肩甲骨の下で終わる

腰の出っ張りについては、括弧書きで理由も付いています。「腰つい(椎)のせき(脊)柱前湾を助け、せき(脊)柱後湾を避ける」。腰の自然な反りを保ち、背中が丸まるのを避けるためです。

そして規格は、その優先順位もはっきり書いています。

「背もたれは、特に腰部を支持するように設計するのが望ましい」

背もたれで最初に効くのは腰、ということです。

高い背もたれは、いつ要るか

では高い背もたれ(ハイバック)はどうか。規格は否定していませんが、用途を指定しています。

「後傾姿勢が主となる仕事では、肩甲骨も支持する高い背もたれを推奨する」

「後傾姿勢が主となる仕事」、つまり後ろに寄りかかっている時間が長い仕事です。読書、電話、考えごと、休憩をはさみながらの作業などが当てはまります。

逆に言うと、前傾ぎみでキーボードを打ち続ける時間が長いなら、規格が求めているのは低い背もたれの条件のほうになります。肩甲骨の下で終わり、腰にふくらみがある形です。

高い背もたれには、もうひとつ条件が付いています。

「高い背もたれでは腰部に凸状の部分があり、それは平面又は凹面に滑らかに変化し、なじんでいくものがよい」

高くしても、腰のふくらみは残す。 そこから上へなめらかにつながっていることが求められています。

背もたれの呼び名(ローバック・ミドルバック・ハイバック・エクストラハイバック)は、**背もたれの高さの呼び分け**です。低いほうから順に、腰まで・背中まで・頭まで・頭より上まで、という並びになります。ただしそれぞれが体のどこまでを支えるかは、規格ではなく販売店側の分類です。オフィスコムの解説を出典にした表を[腰楽のハイバックとローバックを比較した記事](/posts/officecom-koshiraku-review/)に載せています。

数字にすると、座面から何mmか

規格は「肩甲骨の下」と書いていますが、mmは書いていません。産業技術総合研究所の人体寸法データベースに、その実測値がありました。

座位肩甲骨下角高
女性 5%タイル 380.0mm
女性 平均 416.1mm
男性 平均 456.9mm
男性 95%タイル 500.3mm

出典:産総研 人体寸法データベース1991-92 I5 座位肩甲骨下角高(確認日 2026-08-11/若年成人・男性215名・女性201名)

低い背もたれの上端は、座面から380.0〜500.3mmということになります。上下で120mmの開きです。

腰のふくらみの位置も見ておきます。腰の骨(腸骨)の上端の高さです。

座位腸骨稜高
女性 5%タイル 204.0mm
男性 95%タイル 252.2mm

出典:産総研 人体寸法データベース1991-92 I8 座位腸骨稜高(確認日 2026-08-11/若年成人)

座面から20〜25cmのあたりが腰の骨の上端です。ランバーサポート(=背もたれの腰のあたりにある出っぱり)の位置を調整するときの目安になります。

この調査は1991〜1992年に行われたものです。現在の体格とは差がある可能性があります。それでも、公表されている実測値としてはこのデータベースが基準になります。
オフィスコム公式サイトでオフィスチェアを見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

座面幅は「お尻より広ければよい」

もうひとつの寸法、座面幅は、規格の書き方がとても単純でした。

「でん(臀)幅よりも座面のほうが広ければ座面の幅の適合性は達成できるものとする」

出典:JIS Z 8515:2002 5.5.2.4 座面幅(確認日 2026-08-11)

広ければよい。 上限の指定はありません。そのかわり、ひじ掛けが付くと話が変わります。

「特に、ある特定されたユーザー群に適合するように設計されたひじ掛けの付いたいすは、最大でん幅に適するようにすることが望ましい」

でん幅(臀幅)とは、座ったときのお尻のいちばん広いところの幅のことです。

ひじ掛けが付くと、座れる幅はひじ掛けの内側までに制限されるからです。その実測値がこちらです。

座位でん幅(足底支持)
男性 95%タイル 375.8mm
女性 95%タイル 391.0mm
女性 最大値 414.0mm

出典:産総研 人体寸法データベース1991-92 J2 座位殿幅:足底支持(確認日 2026-08-11/若年成人)

でん幅は男性より女性のほうが大きく出ています。 ひじ掛けの内寸を考えるときに男性基準では足りません。ひじ掛けそのものの高さはひじ掛けの高さを調べた記事にまとめました。

チェア100点の仕様を数えました

規格がこうなら、商品ページはどうなっているのか。オフィスコムの椅子・チェアカテゴリの先頭100点について、仕様欄を機械的に読み取りました。

これで、規格が挙げる4つの寸法がそろいます。

寸法 記載があった点数
座面高 81点(81%)
座面の厚さ 5点(5%)
座面幅 2点(2%)
背もたれの高さ 1点(1%)
座面の奥行き 0点(0%)
ひじ掛けの高さ 0点(0%)

出典:オフィスコム 椅子・チェアの商品ページ仕様欄を集計(確認日 2026-08-11・先頭100点)

規格が適合性に必要だとする4寸法のうち、数字で分かるのは座面高だけでした。

背もたれの高さが書かれていたのは1点で、「背面高さ / 575mm」という書き方でした。座面幅は2点です。

代わりに書かれていたのは、機能の名前でした。

記載 点数
ランバーサポート 25点
ヘッドレスト 14点
ハイバック等の
呼び名
4点

規格が「特に腰部を支持するように」と求めているランバーサポートは、25点に書かれていました。 ただし位置や高さの数字はありません。

これは「椅子・チェア」カテゴリの先頭100点を調べた結果で、全商品を調べたものではありません。このカテゴリにはデスクワーク用の椅子だけでなく、会議用チェアの複数脚セット・ダイニングチェア・スツールなども含まれます。今回の100点でも、複数脚セットが17点、ダイニングチェアが3点、スツール類が4点含まれていました。また、商品説明の画像の中に書かれている場合は拾えていません。「ハイバック」(=背もたれが頭のあたりまである形)などの呼び名は商品名のほうに入っていることが多く、仕様欄だけを見た数字です。

買う前に確認しておきたいこと

1. 自分の「座面から肩甲骨の下まで」を測る

椅子に座り、背中側の、肩甲骨の下のとがった角に指を当てます。そこから座面までが、低い背もたれの上端の目安です。女性5パーセンタイルで380.0mm、男性95パーセンタイルで500.3mmなので、多くの人はこのあいだに入ります。

パーセンタイルは、100人を小さい順に並べたときの何番目かを表す言い方です。5パーセンタイルは5番目(ほとんどの人がこれより大きい)、95パーセンタイルは95番目(ほとんどの人がこれより小さい)。小柄な人から大柄な人までをカバーする、という意味で使われます。

2. 前傾で使うか、後傾で使うかを先に決める

キーボードを打つ時間が長いなら、規格が求めているのは「肩甲骨の下で終わる」形です。後ろに寄りかかる時間が長いなら、肩甲骨まで支える高い背もたれが推奨されています。高いほうが上位、ではありません。

3. ランバーサポートは「位置が動くか」を見る

腰の骨の上端は座面から20〜25cmで、人によって5cm近く違います。上下に動かせるものなら、この差を吸収できます。 25点にランバーサポートの書かれていましたが、位置の数字は書かれていませんでした。

4. ひじ掛け付きなら、座面幅よりひじ掛けの内寸

座れる幅はひじ掛けの内側までです。座位でん幅は女性95パーセンタイルで391.0mm、最大値は414.0mmでした。座面幅の数字が書いてあっても、それとは別です。

5. 数字がないなら、座って確かめるしかありません

4つの寸法のうち3つは、買う前に確かめる手段がありません。 返品条件を先に見ておくほうが確実です。

まとめ

オフィスチェアの背もたれと座面幅について、規格と商品ページはこうなっています。

JIS Z 8515は、低い背もたれを「でん部の凸部を避ける位置から始まって、腰部の中央に凸部をもち、肩甲骨の下の高さで終わる」形としています。産総研の実測に当てはめると、上端は座面から380.0〜500.3mmです。

高い背もたれは「後傾姿勢が主となる仕事」に推奨されています。高いほうが上位という書き方ではありません。そして高い背もたれでも、腰のふくらみは残すことが条件です。

座面幅は「でん幅より広ければ適合」とだけ書かれています。 ただしひじ掛けが付くと最大でん幅(女性95パーセンタイルで391.0mm)に合わせよ、という条件が加わります。

そして商品ページでは、背もたれの高さが100点中1点、座面幅が2点でした。規格が挙げる4つの寸法のうち、数字で分かるのは座面高だけです。

これで4つの寸法をすべて見たことになります。座面高(=床から座面までの高さ)は表示とのズレを調べた記事に、座面の奥行きは商品ページに書かれていないという記事に、ひじ掛けは高さを調べた記事にまとめました。 椅子そのものの寿命はオフィスチェアは何年もつかの記事に、実際の製品はオフィスコムのチェアを調べた記事にあります。

オフィスコム公式サイトでオフィスチェアを見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます
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この記事の出典

この記事は、JIS Z 8515(ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項)で背もたれと座面幅の要件を読み、対応する人体寸法を産総研のデータベースで確認したうえで、それらが実際の商品ページに公表されているかを100点分数えたものです。

すべて2026年8月11日に確認しました。

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