オフィスチェアのひじ掛けは何cm?机に当たるのは床から65cm超
そもそも、どんな商品か
オフィスチェアのひじ掛け(アームレスト)の高さと幅についての記事です。腕をのせる部分が、座面から何mmの位置にあるべきかを扱います。
「肘付き」「肘なし」という商品名の表記の話ではありません。ひじ掛けが付いているかどうかではなく、付いているひじ掛けが自分の体に合う位置にあるかどうかの話です。
まず結論だけ
- JISは「女性5%タイルから男性95%タイルまでをカバー」とだけ書いています
- 実測に当てはめると座面から206.1〜292.0mm。上下で8.6cmの開きです
- 100点調べて、ひじ掛けの高さの数字は0点。書いてあるのは肘の種類だけでした
- 規格は「じゃまになるなら調節か取り外しができるのがよい」としています
オフィスチェアを選ぶとき、ひじ掛けは「付いているか、付いていないか」で見ることがほとんどだと思います。
規格を読むと、ひじ掛けには高さの目安があり、その目安は8.6cmもの幅があることが分かりました。
商品ページには、その高さがまったく書かれていませんでした。
この記事では、自分のひじの高さを測って、机に入る椅子かを見る手順を書きました。
制度・データは2026年8月11日時点で確認しています。
規格のひじ掛けは「ずっと腕を乗せるもの」ではありません
先に、意外だったところから書きます。JIS Z 8515は、ひじ掛けの役割をこう定義しています。
ひじ掛けは、特殊な作業の場合や作業が中断している間に、首や肩の筋負担を軽減したり、立ち上がるときや座るときの補助をする
「作業が中断している間」と「立ち座りの補助」です。 キーボードを打っているあいだ、ずっと腕を預けておく道具としては書かれていません。
そのうえで、高さについてこう続きます。
高さや幅が調節可能なひじ掛けは、対象ユーザー群の女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまでの範囲をカバーするのが望ましい
出典:JIS Z 8515:2002 5.5.5 ひじの支持(確認日 2026-08-11)
規格そのものには、mmの数字が書かれていません。 「女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまで」という決め方だけです。その範囲が何mmなのかは、次の章で人体の実測値から出します。



高さの目安は座面から206〜292mm。根拠は「座位肘頭高」です
規格が挙げている体の寸法は座位ちゅう(肘)頭高です。座面からひじの下までの高さのことです。産業技術総合研究所の人体寸法データベースに、この実測値がありました。
表の5%タイルと95%タイルは、パーセンタイルという言い方です。100人を小さい順に並べたときの、何番目の人かを指します。
5%タイルは「ほとんどの人がこれより大きい」という線です。95%タイルは「ほとんどの人がこれより小さい」という線です。規格の言う「女性5%タイルから男性95%タイルまで」は、小柄な人から大柄な人までという意味です。
表は横にスクロールできます
| 対象 | 値 |
|---|---|
| 女性 5%タイル | 206.1mm |
| 女性 平均 | 243.7mm |
| 男性 平均 | 254.2mm |
| 男性 95%タイル | 292.0mm |
出典:産総研 人体寸法データベース1991-92 I9 座位肘頭高(確認日 2026-08-11/若年成人・男性216名・女性203名)
規格の言う範囲は、座面から206.1〜292.0mmです。 丸めると206〜292mm、上と下で85.9mmの開きがあります。約8.6cmです。
測り方も決まっています。「座面から肘頭下線の最高点までの高さ」を測ります。姿勢は、こう決められています。
肩の力をぬき肘を90度に曲げ、手掌を内側に向けて前腕を水平前方にのばす
この姿勢は、規格が示す設計基準姿勢とそろっています。
上腕は鉛直で、前腕は水平
肩を上げず、ひじを直角にしたときのひじの位置に、ひじ掛けの上面が来る。これが規格の考え方です。

内側の幅は39cm以上。「最大でん幅」=お尻の幅で決まります
ひじ掛けには、もうひとつ寸法があります。左右のひじ掛けの内側の幅です。規格はこれをでん幅という言葉で説明しています。
でん幅(臀幅)とは、座ったときのお尻のいちばん広いところの幅のことです。椅子に座って、左右のお尻の外側から外側までを測った寸法だと思ってください。
ひじ掛けの内側の幅がこれより狭いと、座ったときにお尻の横がひじ掛けに当たります。 規格は、座面の幅の項でこう書いています。
特に、ある特定されたユーザー群に適合するように設計されたひじ掛けの付いたいすは、最大でん(臀)幅に適するようにすることが望ましい
出典:JIS Z 8515:2002 5.5.2.4 座面幅(確認日 2026-08-11)
ひじ掛けが付くと、座面の広さはひじ掛けの内側までに制限されます。 そのため「いちばん大きい人のお尻の幅」に合わせなさい、という書き方になっています。その実測値も同じデータベースにありました。
表の足底支持は、足を床につけて座った姿勢で測ったという意味です。
表は横にスクロールできます
| 対象 | 座位でん幅(足底支持) |
|---|---|
| 男性 95%タイル | 375.8mm |
| 女性 95%タイル | 391.0mm |
| 女性 最大値 | 414.0mm |
出典:産総研 人体寸法データベース1991-92 J2 座位殿幅:足底支持(確認日 2026-08-11/若年成人)
でん幅は、男性より女性のほうが大きく出ています。 95パーセンタイルで比べると、差は15.2mmです。ひじ掛けの内寸を考えるときは、男性基準では足りません。




机に当たるなら「調節か取り外しができるのがよい」と規格は書いています
ひじ掛けの項には、注意書きが2つ付いています。
a) VDT作業者の好ましい姿勢を妨げないことが望ましい。もし妨げとなるのであれば、調節か取り外しができるのがよい
b) 作業場への近づきやすさを制限しないことが望ましい。特にひじ掛けの高さは、いすを作業面に近づけるときにじゃまにならないのがよい
ひじ掛けが机の天板に当たって椅子が入らない、という現象があります。規格はそれを、避けるべき状態として名指ししています。
ここは机側の寸法とつながります。机の天板の下端がどこにあるかはデスクの下は何cm空いていればいいかの記事にまとめました。ひじ掛けの上面がその高さより上にあると、椅子が入りません。

床から65cmを超えると、700mmの机の下に入りません
ここまでの数字は、すべて座面からの高さです。ところが、ひじ掛けが机に当たるかどうかを決めるのは、床からの高さのほうです。計算はたし算です。
床からのひじ掛けの高さ=座面の高さ+座面からのひじ掛けの高さ
国が望ましいとする座面の高さは37cm〜43cmです。規格から出したひじ掛けの高さは206mm〜292mmでした。組み合わせると、こうなります。
表は横にスクロールできます
| 低いほうの 組み合わせ |
高いほうの 組み合わせ |
|
|---|---|---|
| 座面の高さ | 37cm | 43cm |
| ひじ掛け (座面から) |
206mm | 292mm |
| 床からの高さ | 57.6cm | 72.2cm |
机の側には、天板の下に空けておくべき高さがあります。当サイトで調べたところ、JISの計算式に日本人の実測値を入れると650mmでした。高さ700mmの机なら、天板の下はおおむね650mmまでしか空いていないことになります。
床から65cmを超えるひじ掛けは、700mmの机の下に入りません。 上の表の「高いほうの組み合わせ」は72.2cmなので、7cm以上はみ出します。
座面を高くして使う人ほど、ひじ掛けが机に当たります。 座面を上げれば、ひじ掛けもそのぶん上がるからです。前の章で見た「調節か取り外しができるのがよい」という規格の書き方は、ここに効いてきます。



机の下の高さの求め方はデスクの下は何cm空いていればいい?規格に計算式がありますにまとめました。座面の高さの合わせ方はオフィスチェアの座面高は何cm?国の目安37〜43cmと机の合わせ方にあります。

商品ページにひじ掛けの高さは書いてありません(100点中0点)
規格がこうなら、商品ページはどうなっているのか。オフィスコムの椅子・チェアカテゴリの先頭100点について、仕様欄を機械的に読み取りました。
まず、仕様欄に「肘」の項目があった61点の中身です。
表は横にスクロールできます
| 肘の種類 | 点数 |
|---|---|
| 固定肘 | 21点 |
| 肘なし | 13点 |
| 上下可動式 | 11点 |
| アジャスタブル アーム |
8点 |
| アームアップ式 | 5点 |
| 可動肘 | 3点 |
寸法のほうは、こうでした。
表は横にスクロールできます
| 項目 | 記載があった点数 |
|---|---|
| 座面高 | 81点(81%) |
| ひじ掛けの 幅・奥行き |
2点(2%) |
| ひじ掛けの高さ | 0点(0%) |
出典:オフィスコム 椅子・チェアの商品ページ仕様欄を集計(確認日 2026-08-11・先頭100点)
ひじ掛けの高さの数字は、1点もありませんでした。 書かれているのは「固定肘」「上下可動式」といった種類だけです。
座面高は81点に数字で書かれていました。座面高とは、床から座面までの高さのことです。それに対して、ひじ掛けは種類止まりでした。
「調節できる」と書いてある点も同じでした。 肘の調節に触れているのは20点ありました。いずれも次のような機能や段階数の説明で、どこからどこまで動くのかというmmの数字はありません。
肘上下・前後調節 高さ5段階調整 6Dアーム(高さ、前後、内外、角度)
寸法が書かれていた2点も、高さではありませんでした。 いずれも腕をのせる面の大きさです。
肘掛け / 幅80×奥行250mm アームレスト幅 / 95mm




買う前に確認しておきたい5つのこと
1. 自分の「座面からひじまで」を測る
椅子に座り、肩の力を抜いてひじを直角に曲げます。 その状態で、座面からひじの下までの高さを測ってください。これがひじ掛けの上面の目安です。
小柄な側の目安は、女性5パーセンタイルの206.1mmです。大柄な側は、男性95パーセンタイルの292.0mmです。多くの人はこのあいだに入ります。
2. 「上下可動式」かどうかを見る
高さが書かれていない以上、動かせるものを選ぶのがいちばん確実です。 今回の100点で上下に動くのは、次の3種類でした。
- 上下可動式 11点
- アジャスタブルアーム 8点
- 可動肘 3点
3. 机に入るかを、ひじ掛けの高さで考える
アームアップ式(跳ね上げ式)は5点ありました。 机に当たる心配があるなら、この方式か、取り外せるものが候補になります。規格が「じゃまになるなら取り外しができるのがよい」と書いているのは、この状況のためです。
4. ひじ掛けの内側の幅も見る
ひじ掛けが付くと、座れる幅はひじ掛けの内側までです。 座位でん幅は、女性95パーセンタイルで391.0mmでした。最大値は414.0mmです。
座面幅の数字が書いてあっても、ひじ掛けの内寸とは別なので注意してください。今回の100点で座面幅の数字があったのは2点だけでした。
5. 高さは座面高とセットで考える
ひじ掛けの高さは座面からの寸法です。 座面高が変われば、床からのひじ掛けの位置も変わります。座面高そのものにも表示と実際のズレがあり、そちらは座面高の目安と表示のズレを調べた記事にまとめました。

まとめ
オフィスチェアのひじ掛けについて、規格と商品ページはこうなっています。
JIS Z 8515は、ひじ掛けを「作業が中断している間」と「立ち座りの補助」の道具として定義しています。 ずっと腕を預ける前提では書かれていません。
高さの目安は「女性5パーセンタイルから男性95パーセンタイルまでをカバーする」こと。 産総研の実測に当てはめると座面から206.1〜292.0mmで、上下に8.6cmの開きがあります。
幅のほうは最大でん幅に合わせよ、とされています。女性95パーセンタイルで391.0mmです。
オフィスコムのチェア100点に、ひじ掛けの高さの数字は1点もありませんでした。 書かれているのは「固定肘」「上下可動式」といった種類だけです。調節できると書かれた20点も、段階数や機能名までで、mmはありません。
確実なのは、上下に動くものを選ぶことです。 今回の100点では22点がそれに当たりました。机に当たるのが心配なら、跳ね上げ式か取り外せるものが規格の想定する逃げ道になります。

- ひじ掛けの高さの目安は、座面から206〜292mm。肩の力を抜いてひじを直角にしたときの、ひじの下の高さです
- 床から65cmを超えると、700mmの机に入りません。座面を高くする人ほど当たるので、上下に動くか跳ね上がるものを選びます
- 商品ページにひじ掛けの高さの数字はありません。100点中0点で、書いてあるのは「固定肘」「上下可動式」といった種類だけです
これで、規格が挙げる4つの寸法をすべて見たことになります。座面高は表示とのズレを調べた記事に、座面の奥行きは商品ページに書かれていないという記事にまとめました。 背もたれと座面幅は背もたれの高さを調べた記事にあります。
机側はデスクの高さの記事とデスク下のクリアランスの記事にあります。キーボードの高さは35mmを超えてはならないという記事にまとめました。
この記事の出典
この記事は、JIS Z 8515でひじ掛けの役割と高さの決め方を読んだものです。JIS Z 8515とは、ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項を定めた規格です。対応する人体寸法を産総研のデータベースで確かめ、その寸法が商品ページに公表されているかを100点分数えました。
すべて2026年8月11日に確認しました。
- JIS Z 8515:2002 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項(5.5.5 ひじの支持=役割の定義/女性5%タイル〜男性95%タイルをカバー/じゃまなら調節か取り外し/いすを作業面に近づけるときにじゃまにならないこと。5.5.2.4 座面幅=ひじ掛け付きのいすは最大でん幅に適するように。設計基準姿勢=上腕は鉛直で前腕は水平)
- 産業技術総合研究所 人体寸法データベース1991-92(I9 座位肘頭高=女性5%タイル206.1mm・男性95%タイル292.0mm/J2 座位殿幅:足底支持=女性95%タイル391.0mm)
- オフィスコム 椅子・チェア(肘の種類と寸法の記載率の集計元・先頭100点)
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