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オフィスの騒音対策
国の基準は85dBと65dBの2つだけでした

そもそも、どんな商品か

オフィスの音について、国が数字で決めていることを探した記事です。あわせて遮音と吸音の違いを規格から確かめています。

商品を選ぶ記事ではありません。買えば静かになるのかという前提のほうを確かめたものです。

まず結論だけ

  • 国の数字は2つ。厚生労働省の85デシベル(耳を守るため)と消防法の65デシベル(非常放送が聞こえるため)です
  • どちらも「遮音しすぎるな」と書いています。静かにするための数字ではありません
  • 厚労省のガイドラインの対象は60項目の作業場。工場や建設現場で、事務所は1つも入っていません
  • 遮音と吸音は測る規格が別です。吸音は反響を減らすもので、向こうへ通さない性能ではありません

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オフィスがうるさい。仕切りを買えば静かになるのか。当サイトはそれを確かめるために、間仕切り1,563点個室ブース194点を数えました。

結果は、間仕切りで「遮音」と書かれた商品が0点。ブースで2点でした。

理由は、国の側にありました。 日本の法令がオフィスの音について決めている数字は、85デシベルと65デシベルの2つ。どちらも「静かにするため」の数字ではありません。

条件は2026年8月20日に確認しています。

結論:「静かにする」ための基準は、法令にありません

先に答えを書きます。探し方が悪かったのではなく、そもそも無いというのが答えでした。

法令が音について数字を決めているのは、耳を壊さないためと、非常時の放送が聞こえるための2つです。「会話が漏れない」「集中できる」ための数字は、国の側にありません。

数字がなければ、比べようがありません。だから商品にも数字が書かれていない、という順番になります。

数字①:85デシベル(耳を守るため)

厚生労働省が「騒音障害防止のためのガイドライン」を出しています。2023年に改訂されました。

管理区分の判定に85デシベルが出てきます。

A測定平均値 B測定 85dB未満 85〜90dB 90dB以上
85dB未満 第Ⅰ管理区分 第Ⅱ 第Ⅲ
85〜90dB 第Ⅱ 第Ⅱ 第Ⅲ
90dB以上 第Ⅲ 第Ⅲ 第Ⅲ

85デシベル未満なら第Ⅰ管理区分です。そして85デシベルを超える場合、作業時間の目安が示されています。

等価騒音レベル 1日のばく露時間
85dB 8時間00分
88dB 4時間00分
91dB 2時間00分

3デシベル上がるごとに、時間が半分になります。音のエネルギーが2倍になるためです。

出典:騒音障害防止のためのガイドライン(基発0420第2号・令和5年4月20日)(確認日 2026-08-20)

ここが大事です。このガイドラインの対象は、事務所ではありません。

対象は別表第1(8項目)と別表第2(52項目)に掲げる作業場、合わせて60項目です。中身を少し引きます。

(別表第1・1)鋲打ち機、はつり機、鋳物の型込機等圧縮空気により駆動される機械又は器具を取り扱う業務を行う屋内作業場 (別表第2・47)バイブレーター、さく岩機、ブレーカ等手持動力工具を取り扱う業務を行う作業場 (別表第2・52)空港の駐機場所において、航空機への指示誘導、給油、荷物の積込み等の業務を行う作業場

出典:騒音障害防止のためのガイドライン(別表)(確認日 2026-08-20)

60項目を全部見ましたが、事務所・オフィスは1つもありません。 金属加工、印刷、木材、建設、伐採、空港です。

補足として、ガイドラインには「別表に掲げる作業場以外の作業場であっても、騒音レベルが高いと思われる業務を行う場合には、本ガイドラインに基づく騒音障害防止対策と同様の対策を講ずることが望ましい」ともあります。ただし「望ましい」であって、基準ではありません。

85デシベルは、難聴を防ぐための線です。会話が気になる大きさとは桁が違います。

数字②:65デシベル(非常放送が聞こえるため)

もう1つの数字は、消防庁の通知に出てきます。個室ブースの中にスピーカーを付けなくてよい条件です。

当該可動式ブースの外に設置されたスピーカーによる放送について、当該可動式ブース内における音圧が65デシベル以上となることが確認できること。

出典:消防予第211号 可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて(令和5年3月30日)(確認日 2026-08-20)

外の放送が、中で65デシベル以上で聞こえること。 これが条件です。

満たせないなら、中にスピーカーか警報装置を付けることになります。 その装置にも「65デシベル以上の音圧」と、停電時に10分間以上作動する電池が求められています。

つまりこの数字は、「聞こえなくならないように」という向きに働きます。

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どちらも「遮音しすぎるな」と書いています

2つの数字に共通する向きがあります。

厚生労働省のガイドラインには、聴覚保護具(耳栓・イヤーマフ)についてこう書かれています。

なお、危険作業等において安全確保のために周囲の音を聞く必要がある場合や会話の必要がある場合は、遮音値が必要以上に大きい聴覚保護具を選定しないよう配慮すること。

耳栓ですら、遮音しすぎるなと書いてあります。

消防庁の側は、ブースの中で外の放送が65デシベル以上聞こえることを求めます。静かにするほど、この条件は満たしにくくなります。

国が音について数字を持っているのは、この2方向だけです。 片方は「壊すな」、もう片方は「聞こえろ」。「静かにしろ」はありません。

遮音と吸音は、規格からして別物です

商品を見ていると「吸音」と書かれたものが出てきます。これは遮音とは別のものです。 規格の適用範囲が違います。

遮音 吸音
規格 JIS A 1416 JIS A 1409
対象 壁,床,ドア,窓,
外周壁部材,外周壁など
家具,人,
吸音体などの物体
測るもの 通さない性能 音を吸う割合

遮音の規格の対象は、建物に固定された部材です。 置くだけの間仕切りやブースは入っていません。

さらに、遮音の規格にはこう書かれています。

測定は側路伝搬をできるだけ小さくした実験室試験装置を使用して行う。したがって…実際の建物に適用してはならない。

側路伝搬は、部材を突き抜けるのではなく、まわりを回って伝わる音です。天井まで届かない仕切りは、その回り道が全部あいた状態です。

一方で吸音の規格には「家具,人,吸音体などの物体」が入っています。 吸音パネルはこちら側です。ただし測るのは吸音率、当たった音のうち跳ね返らない割合です。部屋の反響は減りますが、向こう側へ行く音を止める性能ではありません。

出典:JIS A 1416:2000JIS A 1409:1998(いずれも確認日 2026-08-20)

だから、商品に数字がありません

当サイトが数えた結果を並べます。

調べたもの 点数 「遮音」の表示 「吸音」の表示
間仕切り 1,563点 0点 30点
個室ブース 194点 2点 13点

「防音」も「dB」も、間仕切りでは0点でした。

メーカーが書かないのではなく、書ける枠組みがないということになります。実際、あるメーカーは商品説明にこう書いていました。

消防法を対応するために天面を解放しながらも吸音効果を保った扉一体型タイプ。

天井を開けている理由まで、そのまま書いてあります。

では、何ができるのか

数字で保証されないからといって、何も変わらないわけではありません。 確かめられた範囲で整理します。

1つめは、視線を切ることです。 メーカーの説明は「立位時も目線を遮る180cm」でした。音ではなく目線、と書いてあります。掲載品の31%が高さ1,700〜2,000mmです。

2つめは、反響を減らすことです。 吸音の規格は家具を対象に含みます。吸音タイプは価格の中央値(=小さい順に並べたとき、ちょうどまん中に来る値)が60,745円で、全体の37,550円より高くなります。

3つめは、距離と場所です。 会議室や個室ブースに移る、というのがいちばん確実な方法になります。

4つめは、天井までふさぐことです。 ただしこれは家具ではなく工事の話で、消防設備の検討が要ります。 判断するのは管轄の消防署です。

買う前に確認しておきたいこと

1つめは、期待する結果です。 「聞こえなくなる」を期待すると、まず外れます。 気が散りにくくする、視線を切る、までです。

2つめは、数値の有無です。 遮音の数値が書かれていない商品は、比べようがありません。書いていないこと自体は、メーカーの怠慢ではありません。

3つめは、吸音と遮音の取り違えです。 吸音は反響を減らすもので、隣に届く声を止めるものではありません。

4つめは、建物の設備です。 ブースを閉じる場合、スプリンクラーや非常放送の話になります。

まとめ

  • オフィスの音について、国が決めている数字は85デシベルと65デシベルの2つでした
  • 85デシベルは耳を守るため(厚生労働省のガイドライン)。対象の60項目に事務所は1つもありません
  • 85dBで8時間、88dBで4時間、91dBで2時間。3デシベルごとに半分になります
  • 65デシベルは非常放送が聞こえるため(消防庁の通知)。聞こえなくなってはいけない、という向きの数字です
  • 厚労省は「遮音値が必要以上に大きい聴覚保護具を選定しないよう配慮すること」とまで書いています
  • 遮音(JIS A 1416)の対象は壁・床・ドア・窓。 置くだけの間仕切りは入っていません
  • 吸音(JIS A 1409)は家具も対象ですが、測るのは音を吸う割合です
  • 実測でも、間仕切り1,563点の遮音表示は0点、ブース194点で2点でした

商品ごとの中身は、オフィスコムの間仕切りオフィスコムの個室ブースにまとめています。

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Kagg.jpでオフィス家具を見る ※ 販売サイトに移動します

この記事の出典

この記事は、厚生労働省のガイドライン、消防庁の通知、日本産業規格の本文を読み、あわせて当サイトが数えたオフィスコムの掲載品の数を突き合わせて整理したものです。確認日は2026年8月20日です。

この記事は法令の内容を紹介したもので、個別の事業所について可否を判断するものではありません。 騒音の測定義務や消防設備の要否は、業種・建物・使い方によって変わります。実際の判断は、労働基準監督署や管轄の消防署にご確認ください。掲載点数は当サイトが商品名とアイコンを集計したもので、商品ページ本文の記載までは含みません。

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