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寝酒はなぜだめ?レム睡眠が減る線はビール2本と少し

そもそも、どんな商品か

寝酒や晩酌が睡眠に何をしているのかを、厚生労働省の2つのガイドラインで確認した記事です。量の目安を実際のお酒に換算しています。

断酒をすすめる記事ではありません。国の資料に書かれている量と、その読み方を整理したものです。

まず結論だけ

  • 寝つきは良くなります。ただし睡眠後半の質が顕著に悪化すると書かれています
  • 0.75g/kg以上でレム睡眠が著明に減少。体重60kgならビール500ml缶で2本と少しです
  • 顔が赤くなる人は、少量でも影響を強く受けます。日本人に多い体質です
  • 毎日の寝酒は、急にやめると不眠になります。週単位で減らすと書かれていました

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飲むと、よく眠れる気がする。寝酒を続けている方は多いと思います。

厚生労働省の資料を読みました。寝つきが良くなるのは、書いてあるとおりでした。

問題は、そのあとです。そして「どれくらいから」の数字も出てきました。

制度・データは2026年8月18日時点で確認しています。

結論:寝つきは良くなり、後半が壊れます

先に答えを書きます。健康づくりのための睡眠ガイド2023には、こう書かれています。

アルコール(エタノール)は一時的には寝つきを促進し、睡眠前半では深い睡眠を増加させます。しかし、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増加するにつれて中途覚醒回数が増加することが報告されています。

出典:厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月)(確認日 2026-08-18)

一晩を前半と後半で分けて書かれています。

一晩のうち アルコールの影響
寝つき 促進される
睡眠前半 深い睡眠が増える
睡眠後半 眠りの質が
顕著に悪化

「よく眠れた気がする」は、前半だけの話でした。

ガイドのポイント欄の書き方も、はっきりしています。

晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある。

レム睡眠が減る線は、ビール2本と少しでした

では、どれくらいから問題になるのか。 ガイドに数字がありました。

一晩におけるレム睡眠出現量が少ないと将来の死亡リスクが高まるという報告があり、多量(0.75g/kg以上)のアルコール摂取はレム睡眠を著明に減少させることから、長期的な健康リスクとなりうるとの指摘もある

0.75g/kg。体重1kgあたり、純アルコール0.75gです。

これが実際のお酒でどれくらいなのか。 同じ厚生労働省が令和6年2月に出した健康に配慮した飲酒に関するガイドラインに、換算の式が載っていました。

純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)

この式を使って計算します。

体重 0.75g/kgの
純アルコール量
ビール
500ml缶(5%)
50kg 37.5g 1.9本
60kg 45g 2.3本
70kg 52.5g 2.6本

お酒の種類で見ると、こうなります。 ガイドラインはビール500ml(5%)=純アルコール20gを例に挙げています。同じ式で計算すると、純アルコール20gはこのあたりです。

お酒 純アルコール
20gの量
ビール(5%) 500ml
日本酒(15%) 167ml
(1合は21.6g)
焼酎(25%) 100ml
ワイン(12%) 約208ml
缶チューハイ
(7%)
約357ml

体重60kgの人なら、ビール500ml缶で2本と少し。日本酒なら2合ちょっとです。

そして、もうひとつ気づいたことがあります。 飲酒ガイドラインは、生活習慣病のリスクを高める量を別に示しています。

1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上

男性の40gと、レム睡眠の0.75g/kg。 体重53kgでちょうど40gになる計算なので、多くの人ではこの2つの線が近いところにあります。

体重からの換算と、お酒の種類別の量は、飲酒ガイドラインの計算式を使って当サイトが計算したものです。国がこの表の形で示しているわけではありません。またアルコールの影響には個人差があり、体調によっても変わります。
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なぜ後半だけ悪くなるのか

理由も書かれていました。飲んだあと、体の中で別の物質に変わるからです。

アルコールは、摂取後に体内で代謝され、アセトアルデヒドという物質に変換されます。アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質です。また、強い交感神経刺激作用を持ち、睡眠を阻害する血中のカテコールアミン(興奮性物質)を増加させます

交感神経は、体を活動モードにする神経です。眠っているときには静かになっているはずのものが、刺激されることになります。

つまり、順番はこうです。

時間の流れ 起きていること
飲む アルコールが
寝つきを促進
眠りはじめ 前半の深い睡眠が
増える
代謝が進む アセトアルデヒド
変わる
睡眠後半 交感神経が刺激され
中途覚醒が増える

飲んだ本人が起きているあいだではなく、寝ている最中に効いてきます。だから自分では気づきにくい、という構図でした。

睡眠障害についても書かれています。 アルコールは閉塞性睡眠時無呼吸をはじめとしたさまざまな睡眠障害を増悪させるとされています。

顔が赤くなる人は、もっと少ない量で影響を受けます

同じ量を飲んでも、影響の出方が違う理由も書かれていました。

アルコールの代謝能には個人差があり、特にアルデヒド分解酵素(アルデヒド脱水素酵素:ALDH)の活性の高さに影響を受けます。ALDHの活性が低い人は飲酒後に顔が赤くなりやすい等の特徴があり、日本人を含むアジア人は西欧人やアフリカ系の人より活性が低い人が多いことが知られています。

顔が赤くなるかどうかが、目印になります。

ガイドはこう続けます。

ALDHの活性が低い人は、アルコール摂取量が少量でも影響を強く受けやすいのでより一層注意が必要です。

Q&Aにも、性差と加齢が出てきました。

アルコール代謝能力には性差・個人差があり、加齢によってもアルコール代謝能力は低下するので、飲酒量には注意が必要です。

若いころと同じ量が、同じように処理されるわけではありません。

「飲んでも眠れている」人への回答もありました。

少量の飲酒であれば、眠る前にはアルコールやアセトアルデヒドの多くは代謝されます。 しかし、多量飲酒では高率に睡眠に悪影響が生じます。

少量なら問題にしていません。 量の話でした。

寝酒は、やめると眠れなくなります

いちばん重い指摘が、これです。

アルコールは連用することで依存や耐性を形成し、離脱作用によってアルコールを飲まないとよく眠れない状態に至る可能性があります

耐性とは、同じ量では効かなくなること離脱とは、やめたときに症状が出ることです。

この2つがそろうと、こうなります。 眠るために飲む → 効かなくなって量が増える → やめると眠れない。

ガイドは、寝酒を名指しで推奨していません。

良い睡眠のためには、寝つきを改善させるために飲酒をする、いわゆる「寝酒」も含めて、大量のアルコール摂取(深酒)や、毎日の飲酒は推奨されません。

そして、やめ方まで書かれていました。

毎日寝酒を続けている場合は、急にやめると離脱等によって不眠となることがあります。週単位で徐々に量を減らしていくか、あるいは、医療機関で相談しながら断酒すると良いでしょう。

急にやめないこと。これが国の資料の書き方でした。

そして、そもそもの原因についても触れています。

寝酒の原因となる不眠症状がある場合には、医師に相談することが推奨されます。

毎日の飲酒を急にやめると離脱症状が出ることがあります。減らし方に不安がある場合や、不眠が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

国が挙げている「配慮のある飲み方」

やめるのではなく、飲み方を変える選択肢もあります。 飲酒ガイドラインが挙げているのは、次の5つでした。

やること 効果として
書かれていること
あらかじめ量を
決めて飲む
飲酒行動の改善に
つながる
飲酒前・飲酒中に
食事をとる
血中アルコール濃度が
上がりにくくなる
合間に水や
炭酸水を飲む
純アルコールの量を
減らす
週に飲まない日を
設ける
依存症の発症に
つながる可能性を下げる
自分の飲酒状況を
把握する
リスクを減らす

出典:厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(令和6年2月)(確認日 2026-08-18)

寝る前の行動について、注意もありました。

飲酒中又は飲酒後における運動・入浴などの体に負担のかかる行動(中略)飲酒により血圧の変動が強まることなどによって、心筋梗塞などを引き起こす可能性や、転倒などにより身体の損傷を引き起こす可能性があります。

飲んでから入浴して寝る、という順番は避けるよう書かれています。睡眠ガイドが勧めている入浴は就寝の約1〜2時間前なので、そこと飲酒が重ならないようにする必要があります。

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買う前に確認しておきたいこと

1つめは、自分の体重で線を引き直すことです。 0.75g/kgは体重で変わります。体重50kgの人と70kgの人では、同じ2本でも意味が違います。 上の表で、自分の体重の行を見てください。

2つめは、顔が赤くなるかどうかです。 ALDHの活性が低い人は、少量でも影響を強く受けやすいと書かれています。日本人には多い体質です。

3つめは、寝つきの良さで判断しないことです。 寝つきは実際に良くなります。悪くなるのは睡眠後半なので、そこは自分では見えません。

4つめは、毎日かどうかです。 ガイドが推奨していないのは、深酒と毎日の飲酒でした。週に飲まない日を作る、という項目が配慮のある飲み方に入っています。

5つめは、寝具を買う前に飲み方を見ることです。 中途覚醒(夜中に目が覚めること)が増えているとき、原因がアルコールならマットレスを替えても変わりません。 費用の順で言えば、こちらが先です。

6つめは、環境と時間もそろえることです。 寝室の環境は寝室の環境の記事に、睡眠時間の目安は睡眠時間の記事にまとめました。嗜好品・環境・時間の3つが、国の資料の並びです。

まとめ

寝酒について調べて分かったのは、次の4点でした。

1つめ。寝つきは良くなります。 ただし睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化すると書かれています。前半だけを見て判断できません。

2つめ。量の線は0.75g/kgです。 これ以上でレム睡眠(=眼球が動き、夢を見ていることが多い浅い眠り)が著明に減少するとされ、体重60kgならビール500ml缶で2本と少しにあたります(当サイトの計算)。生活習慣病のリスクを高める量(男性40g/日以上)とも近い位置でした。

3つめ。体質差が大きいと明記されています。 顔が赤くなりやすい人はALDHの活性が低く、少量でも影響を強く受けやすい。日本人を含むアジア人に多い体質です。

4つめ。毎日の寝酒は、急にやめてはいけません。 離脱で不眠になることがあるため、週単位で徐々に減らすか、医療機関で相談しながらと書かれていました。

寝つきの良さは、眠りの良さではない。 これが2つのガイドラインを読んで残った結論です。

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この記事の出典

調べ方について。 睡眠に関する記述は、すべて睡眠ガイド2023の本文に書かれているものです。引用文中の強調は当サイトで付けました。体重別の純アルコール量と、お酒の種類ごとの20g相当量は、飲酒ガイドラインが示している算出式を当サイトで計算したもので、国がこの表の形で公表しているわけではありません。0.75g/kgと男性40g/日が近い位置にあるという指摘も、2つのガイドラインの数字を当サイトで並べたものです。ガイドが参照している個々の研究論文には当たっていないため、対象者や測定条件の詳細はガイドの記載の範囲にとどめています。

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