寝室の環境は何から整える?国が数値を出しているのは2つだけ
そもそも、どんな商品か
寝るときの部屋の環境(温度・湿度・光・音)について、国の資料にどこまで数字があるのかを1枚に並べた記事です。個別の記事へ入る前の見取り図として使えます。
寝具(マットレスや布団)の選び方の記事ではありません。部屋そのものの環境の話です。
まず結論だけ
- 厚生労働省が挙げる寝室の環境は光・温度・音、そして寝衣・寝具の4つです
- 寝室そのものに数値があるのは、湿度と音だけでした。温度と光には数値がありません
- その湿度もビルの基準で、寝室のために作られた数字ではありません
- 手を付ける順番はお金のかからないものから。朝カーテンを開けるのが最初です
寝室を良くしたい。でも、何から手を付ければいいのか。
温度、湿度、光、音。それぞれを国の資料で1つずつ調べました。そして4つを並べてみて、はじめて分かったことがあります。
国が寝室そのものについて数値を出しているのは、2つだけでした。
制度・データは2026年8月17日時点で確認しています。
国が挙げている寝室の環境は、4つです
まず全体像です。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023には、良い睡眠のための環境として次の4つが並んでいます。
- 日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる。
- 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる。
- 寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1〜2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる。
- できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる。
出典:厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月)(確認日 2026-08-17)
光・温度・音、そして寝衣・寝具。 これが国の挙げている全部です。
気づくのは、ここに湿度が入っていないことです。湿度については睡眠ガイドではなく、別の法令に数字がありました。
4つを並べると、数値の有無がバラバラでした
それぞれを調べた結果を、1枚にまとめます。
表は横にスクロールできます
| 項目 | 国の数値 | どこで 測るか |
|---|---|---|
| 温度 | なし (暑すぎず寒すぎず) |
— |
| 湿度 | 40〜70% (ビルの基準) |
部屋 |
| 光 | 1,000ルクス以上 (日中に浴びる) |
昼の屋外 |
| 音 | 40dB未満 (屋外)ほか |
屋外/屋内 |
| 寝衣・寝具 | なし (リラックスできるもの) |
— |
寝室そのものについて数値があるのは、湿度と音だけです。
しかも、そのどちらにも但し書きが付きます。
湿度の40〜70%は、ビルの基準です。建築物衛生法が定めているもので、寝室のために作られた数字ではありません。 家庭に基準はありません。
音の40dB未満は、屋外の数字です。ただし同じ告示の中に、窓を閉めた生活なら屋内で夜間40dB以下という条文があり、寝室にいちばん近いのはそちらでした。
温度と光には、寝室の数値がありません。 温度は「暑すぎず寒すぎない温度で」だけ。光の1,000ルクスは日中に浴びる光の話で、寝室の明るさではありません。
それぞれの記事で分かったこと
4本を1行ずつまとめます。
温度:夏と冬で扱いが違いました。
睡眠ガイドは「夏の寝室はエアコンを用いて涼しく維持することが重要」と書く一方、冬は「十分に寝具を用いることで寝床内が暖かく維持された場合には、睡眠への影響は少ない」としています。暑さは部屋で、寒さは寝具で。 よく見る「冬は18℃」は睡眠のための数字ではなく、夜中にトイレへ立つときの血圧のためでした。
湿度:国の基準が2つあって、数字が違いました。
ビルは40〜70%、学校は30〜80%。同じ国の基準なのに幅が違います。 温度のほうは、どちらも18〜28℃で一致していました。
光:数値は寝室ではなく日中にありました。
日中に1,000ルクス以上を浴びると、夜のメラトニンが増えて寝つきがよくなると書かれています。同じ厚生労働省がデスク作業に求める照度は300ルクス以上で、桁がひとつ違います。
音:40dBは屋外の数字でした。
日本の環境基準では、住宅地の夜間は45dB以下、幹線道路のそばは65dB以下。地域で25dBの差があります。 そして国は「実験研究では影響を過大評価している可能性」と、慣れを理由に自ら書き添えていました。
手を付ける順番は、お金のかからないものからです
4つのうち、どれから始めるか。費用と手間の順に並べます。
表は横にスクロールできます
| 順番 | やること | 費用 |
|---|---|---|
| 1 | 朝カーテンを開ける | 0円 |
| 2 | スマホを寝室の外に出す | 0円 |
| 3 | 就寝の1〜2時間前に 入浴する |
0円 |
| 4 | 温湿度計を置いて測る | 数千円 |
| 5 | 夏はエアコンを使う | 電気代 |
| 6 | 冬の寝具を厚くする | 寝具代 |
| 7 | 窓の防音を上げる | 工事 |
上の3つは、今日から無料でできます。 そして睡眠ガイドがはっきり書いているのも、この3つでした。
4番目に測定を置いたのは理由があります。 湿度が40〜70%に入っていれば、湿度は原因ではありません。測らないと、何を買えばいいのか決められません。
5番目以降が、お金のかかる話です。 夏の暑さだけは寝具でカバーできないので、エアコンが先になります。冬は逆に寝具でなんとかなります。
いちばん下の窓は、いちばん効果が確実で、いちばん重い選択です。音は建物側の問題なので、ほかの手段では代えられません。
寝具が関係するのは、どこか
4つのうち、寝具で変えられるのは温度の半分だけでした。
表は横にスクロールできます
| 項目 | 寝具で 変えられるか |
|---|---|
| 冬の寒さ | 変えられる |
| 夏の暑さ | 変えられない (エアコン) |
| 湿度 | 一部 (寝床の中の湿気) |
| 光 | 変えられない |
| 音 | 変えられない |
冬は寝具の出番です。 睡眠ガイドが「十分に寝具を用いることで」と書いているとおりで、掛け布団の暖かさの見方は羽毛布団のゴールドラベルの記事にまとめました。
湿度は「一部」です。 部屋の湿度は寝具では変わりませんが、寝ている間の汗を吸うのは寝具なので、乾きやすさが効いてきます。国が挙げているダニ対策の4つにも、乾燥が独立して入っていました。
光と音は、寝具の外の話です。ここを寝具で解決しようとすると、お金が無駄になります。
買う前に確認しておきたいこと
1つめは、環境の前に睡眠時間を見ることです。 国の推奨事項は、時間の確保が1つめ、環境の見直しが2つめという並びでした。成人の目安は6時間以上で、そちらは睡眠時間の記事にまとめています。足りていないなら、環境より先に時間です。
2つめは、測ってから買うことです。 温湿度計と、スマートフォンの騒音計アプリ。この2つで、温度・湿度・音の3つは今の値が分かります。 基準の中に入っていれば、そこは原因ではありません。
3つめは、原因を1つに決めつけないことです。 温度が28℃以下でも、湿度が70%を超えていれば寝苦しくなります。4つを順に潰していくほうが確実です。
4つめは、無料の3つを先にやることです。 朝カーテンを開ける、スマホを外に出す、寝る1〜2時間前に入浴する。買い物より先に、これで変わるかどうかを見ます。
5つめは、寝具を買うなら冬に向けてです。 夏の暑さは寝具では下がりません。冬の寒さは寝具で作れます。 買う季節を間違えると、効果を感じにくくなります。
6つめは、慣れを織り込むことです。 音については、国のガイドが「慣れによって減少する」と書いています。引っ越し直後の判断で大きな出費をしないほうが無難です。
まとめ
寝室の環境を4つとも調べて分かったのは、次の4点でした。
1つめ。国が挙げているのは光・温度・音・寝衣寝具の4つです。 湿度はこの中に入っておらず、別の法令に数字がありました。
2つめ。寝室そのものに数値があるのは、湿度と音だけです。 しかも湿度はビルの基準で、音の40dBは屋外の数字でした。温度と光には、寝室の数値がありません。
3つめ。無料でできることが3つあります。 朝カーテンを開ける、スマホを寝室に持ち込まない、就寝の1〜2時間前に入浴する。国の資料がはっきり書いているのは、この3つです。
4つめ。寝具で変えられるのは冬の寒さと、寝床の中の湿気だけです。 夏の暑さ、光、音は寝具の外の話でした。
測って、無料の3つをやって、それでも足りないところにお金をかける。 これが4本を通しての結論です。
この記事の出典
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月・健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会) — 「良質な睡眠のための環境づくりについて」の章のポイント4項目/日中1,000ルクス以上/夏はエアコン・冬は寝具/慣れによる過大評価の可能性/就寝の約1〜2時間前の入浴
- 厚生労働省 建築物環境衛生管理基準について(相対湿度40〜70%・温度18〜28℃)
- 文部科学省 学校環境衛生基準(相対湿度30〜80%・温度18〜28℃)
- 環境省 騒音に係る環境基準について(夜間 AA 40dB以下・A及びB 45dB以下・幹線道路に近接する空間65dB以下・窓を閉めた場合の屋内基準 夜間40dB以下)
- 厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインと解説(書類上及びキーボード上の照度300ルクス以上)
調べ方について。 この記事は、温度・湿度・光・音を個別に調べた4本の記事の結果を並べ直したものです。それぞれの数値の詳しい条件と、どこまで確認できてどこから先が確認できなかったのかは、各記事に書いています。数値の有無をまとめた表は、4本の調査結果を当サイトで並べたもので、国がこの形で公表しているわけではありません。
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