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睡眠休養感とは
国が掲げた目標なのに測る数字がありません

そもそも、どんな商品か

厚生労働省が2024年に示した「睡眠休養感」という言葉について、資料に何と書かれているかを確認した記事です。

不眠の治療法の記事ではありません。国が何を目標にしたのかと、その根拠の話です。

まず結論だけ

  • 睡眠休養感とは「睡眠で休養がとれている感覚」。朝目覚めたときの感覚が指標になります
  • 睡眠時間には「6時間以上」という数字がありますが、睡眠休養感に数字はありません
  • それでも並べた理由は、睡眠時間が短くても休養感があれば死亡リスクが増えなかった調査があるからです
  • 高齢者では話が逆。8時間以上の睡眠で死亡リスクは1.33倍と報告されています

死亡リスクの調査を見る →

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2024年、国は睡眠の目標を2つにしました。「睡眠時間」と「睡眠休養感」です。睡眠休養感とは、朝起きたときに「休めた」と感じられるかどうかのことです。

睡眠時間には「6時間以上」という数字があります。睡眠休養感には、数字がありません。

それでも国がこの2つを並べたのは、睡眠時間が短くても、睡眠休養感が確保されていれば死亡リスクが増えなかったという調査があるからでした。

資料の記載は2026年8月20日に確認しています。

結論:睡眠休養感は「朝、休めた感じがするか」です

先に、言葉の定義を引きます。

睡眠時間が睡眠の量を反映する指標であるとすれば、睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)は、睡眠の質を反映する指標といえます。 また、睡眠充足の個人差を把握する目安としても、朝目覚めたときの睡眠休養感は良い睡眠の指標となります。

出典:厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月)(確認日 2026-08-20)

「感覚」と書かれています。 検査値でも、機器で測る数値でもありません。

そして、こうも書かれています。

睡眠休養感は、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠環境、生活習慣、日常的に摂取する嗜好品、睡眠障害の有無などのさまざまな要因により影響を受けます。

寝る時間だけの話ではない、という整理になっています。

国が数字を持っているのは、睡眠時間のほうだけです

同じ資料の推奨事項を並べます。成人版はこうです。

  • 適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
  • 食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める
  • 睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。

1つめには「6時間以上」という数字があります。2つめには数字がありません。

「高める」とだけ書かれていて、どこまで高めればよいのかの線はありません。 資料の中で睡眠休養感という言葉は61回出てきますが、何点以上、何%以上といった基準はどこにもありませんでした。

睡眠時間のほうも、6時間が絶対の線ではありません。同じ資料に「6時間未満でも睡眠が充足する人もいれば、8時間以上の睡眠時間を必要とする人もいます」とあり、米国の共同声明として7〜9時間を核に、6時間〜10時間も許容という幅が紹介されています。

それでも並べた理由

数字がないものを、なぜ国民の目標に掲げたのか。根拠になった調査が資料に書かれていました。

また、米国の調査では、40〜64歳の成人(働く人)で睡眠時間が短い場合、死亡リスクが増加しますが、睡眠休養感が確保されている場合には死亡リスクが増加せず、さらに睡眠時間が長く、睡眠休養感が確保されている場合、より死亡リスクは小さくなります。

睡眠時間が短くても、休養感があれば死亡リスクは上がらなかった、という結果です。

つまり、時間だけを見ていると取りこぼすということになります。だから国は2つ並べた、という筋になります。

誤解しないための補足です。これは「短くてよい」という意味ではありません。 同じ資料には、脳波で調べた研究として「40歳から64歳までの成人では、睡眠時間が短くなるにつれて総死亡率が増加することが明確に示された」とも書かれています。推奨はあくまで6時間以上です。
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睡眠休養感が低いと、何が起きるのか

資料が挙げているものを整理します。すべて「関連が示されている」という書き方で、原因と断定されてはいません。

何と関連するか 書かれていること
心血管疾患 休養感の高さが心筋梗塞・狭心症・心不全の発症率低下と関連
代謝 休養感の低下が肥満・糖尿病・脂質異常症と関連(日本の追跡調査)
血圧 休養感の低下と高血圧発症の関連(米国の追跡調査)
こころ 休養感の低下がうつ病発症と関連(米国の縦断調査)

うつ病との関係には、注目すべき書き方がありました。

睡眠休養感の低下が、寝つきの悪さや、頻回の中途覚醒などの不眠症状とは独立して、うつ病発症と関連することが示されています。

「眠れているかどうか」とは別に効いている、という意味です。寝つきがよくても、休養感が低いことはある、ということになります。

もう1つ数字があります。

米国の横断研究では、精神疾患に併存する最も頻度が高い睡眠に関する訴えは、睡眠による休養感の欠如(25.0%)と報告されています。

いちばん多い訴えが、「眠れない」ではなく「休めた気がしない」でした。

高齢者では、話が逆になります

同じ資料の高齢者版は、成人版と向きが違います。

  • 長い床上時間は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
  • 食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める
  • 長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。

2つめだけが共通です。 睡眠休養感を高める、という項目は成人版と同じ文で入っています。

数字も出ています。

高齢世代 将来の死亡リスク
7時間未満の短時間睡眠 1.07倍
8時間以上の長時間睡眠 1.33倍
30分以上の昼寝の習慣 1.27倍(昼寝習慣なしと比べて)

高齢世代では、短いほうより長いほうのリスクが大きく出ています。

理由も書かれていました。長く寝ようとすると睡眠の効率が下がり、休養感が下がる。すると休養を増やしたくなってさらに長く寝る、という悪循環です。

年代ごとの目安は睡眠時間は何時間?国の目安は6時間以上にまとめています。

「寝だめ」では戻りません

休養感を取り戻す方法として、まず思いつくのが休日の寝だめです。資料はこれを否定しています。

平日の睡眠不足(睡眠負債)を、休日に取り戻そうと長い睡眠時間を確保する「寝だめ」の習慣がある人は少なくありませんが、このような習慣で、実際には眠りを「ためる」ことはできません。

さらに数字があります。

ただし、平日6時間以上寝ていても、休日に2時間以上の寝だめ習慣がある人は、寿命短縮リスクが軽減されないことが報告されています。

休日に長く眠りたくなること自体が、平日が足りていないサインだと書かれています。

休養感を上げるために、資料が挙げていること

推奨事項の2つめは「食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める」でした。中身は4つに分かれます。

1つめは、寝室の環境です。 光・温度・音などが挙がっています。当サイトで国の数字を確かめたものを並べます。

2つめは、生活習慣です。 運動と食事が挙がっています。

3つめは、嗜好品です。 これも当サイトで確かめました。

  • カフェイン — 量で変わり、一律の「◯時間前」はありません
  • 寝酒 — レム睡眠(=眼球が動き、夢を見ていることが多い浅い眠り)が減る線はビール2本と少しでした
  • たばこ — 夕方の1本が眠る前まで残ります

4つめは、病気の可能性です。 ここは資料の書き方をそのまま引きます。

閉塞性睡眠時無呼吸のような睡眠障害が潜んでいると、睡眠環境、生活習慣、嗜好品のとり方などを改善しても睡眠休養感が十分に得られないかもしれません。 本ガイドで推奨されている事柄を活用しても睡眠状態の改善が十分に得られない場合は、医師に相談することをお勧めします。

環境と習慣を直しても変わらないなら、そこで止まらずに相談する。 資料はそう書いています。

まとめ

  • 睡眠休養感とは「睡眠で休養がとれている感覚」。朝目覚めたときの感覚が指標になります
  • 国は2024年から、睡眠時間と睡眠休養感の2つを目標に掲げました
  • 睡眠時間には「6時間以上」という数字があり、睡眠休養感には数字がありません
  • ⭐並べた理由は、睡眠時間が短くても休養感が確保されていれば死亡リスクが増えなかったという調査です
  • ただし「短くてよい」ではありません。 推奨は6時間以上のままです
  • 休養感の低下は心血管疾患・代謝・血圧・うつ病との関連が示されています
  • うつ病との関連は、寝つきの悪さや中途覚醒とは独立して示されています
  • 高齢者では逆で、8時間以上の睡眠で死亡リスク1.33倍、30分以上の昼寝習慣で1.27倍です
  • 寝だめでは戻りません。 平日6時間以上でも、休日2時間以上の寝だめではリスクが軽減されませんでした

寝室の側から順に見ていく場合は、寝室の環境は何から整える?からどうぞ。

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この記事の出典

この記事は、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)の記載を確認し、そこに引用されている調査結果を紹介したものです。確認日は2026年8月20日です。

この記事は資料の内容を紹介したもので、診断や治療の助言ではありません。 記事中の「1.33倍」などの数字は、いずれも資料が引用している調査の結果で、当サイトが計算したものではありません。また、資料の書き方はおおむね「関連が示されている」であり、原因と結果を断定したものではない点にご留意ください。睡眠の不調が続く場合は医療機関にご相談ください。

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