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オフィスチェアの蒸れ対策は?メッシュ40%・通気性の数字は0点

そもそも、どんな商品か

オフィスチェアの蒸れについて、張地(座面と背もたれに使われている素材)の種類と通気性が、実際にどこまで数字で示されているかを調べた記事です。

蒸れないおすすめ機種を選ぶ記事ではありません。また「メッシュが正解」と言う記事でもありません。選ぶ材料になる数字が、そもそも公開されているかどうかを確かめたものです。

まず結論だけ

  • 7,389点のうちメッシュは2,979点(40.3%)。いちばん多い張地です
  • 通気性に触れている商品名は15点(0.2%)。数字が入っているものは0点でした
  • 布の通気性を測る方法はJIS L 1096にあります。椅子で使われていないだけです
  • 国が湿度で決めているのは部屋の40〜70%。椅子の通気性は0回です

7,389点を数えた結果を見る →

オフィスコム公式サイトでオフィスチェアを見る ※ 写真と価格は公式サイトで見られます

夏場、椅子から立ち上がるとシャツの背中が濡れている。あの蒸れをどうにかしたくてメッシュの椅子を探す、という順番で調べる方が多いと思います。

そこで、実際に売られている椅子がどこまで通気性を示しているかを数えました。

オフィスチェア7,389点のうち、メッシュは2,979点(40.3%)。いちばん多い張地です。ところが、商品名で通気性に触れているものは15点(0.2%)しかなく、しかもその15点に数字は1つも入っていませんでした。

布の通気性を測る方法は、JISにちゃんとあります。 使われていないだけでした。

制度・データは2026年8月27日時点で確認しています(掲載点数の集計は2026年8月20日取得分)。

結論:蒸れにくさは、張地の名前では決まりません

先に結論です。

「メッシュだから蒸れない」「布だから蒸れる」を裏づける数字は、商品ページに載っていません。

同じ「メッシュ」でも、目の粗さも、糸の太さも、張り方の強さも製品によって違います。それを比べる数字(通気性)が公開されていないので、買う側は名前だけで判断することになります。

そして、その数字を出さないことは違反ではありません。国のルールに、椅子の通気性を表示せよという項目がないからです。

調べたこと 結果
メッシュの点数 2,979点(40.3%)
通気性に触れた商品名 15点(0.2%)
通気性の数字を書いた商品 0点
国のルールの表示義務 項目なし
測る方法(JIS) ある(L 1096)

オフィスチェア7,389点の張地を数えました

オフィス家具通販のオフィスコムに掲載されているオフィスチェア7,389点について、商品名に書かれている張地を機械的に数えました。

張地 点数 割合 税込価格の中央値
メッシュ 2,979点 40.3% 142,700円
布張り(ファブリック) 1,965点 26.6% 105,600円
レザー(合皮・PU) 749点 10.1% 141,100円
本革 406点 5.5% 300,630円
商品名に張地の記載なし 2,288点 31.0%

(合計が100%を超えるのは、「背メッシュ・座布張り」のように2つ書かれている商品があるためです)

メッシュがいちばん多く、4割を占めています。 ここは想像どおりでした。

意外だったのは、張地が商品名に書かれていない椅子が2,288点(31.0%)あることです。3点に1点は、商品名を見ても何が張ってあるか分かりません。

通気性に触れた商品名は15点。数字は0点でした

次に、蒸れにくさを主張している椅子がどれだけあるかを数えました。

商品名に含まれる語 点数
通気 15点(0.20%)
ムレ・蒸れ 0点
透湿 0点
冷感・涼 0点

7,389点のうち、通気性に触れているのは15点だけです。「蒸れ」「透湿」という言葉は1点も使われていませんでした。

その15点が何と書いているかも見ました。表現は4種類だけです。

  • 通気性
  • 通気性抜群
  • 高い通気性
  • 高通気性

数字が入っているものは0点でした。「抜群」「高い」が何と比べて抜群なのかは、商品ページからは分かりません。

確認のためにやり直したこと: 最初「ムレ」を含む商品を80点と数えましたが、これはアームレストの「ームレ」を拾っていた誤りでした。素材の話とは関係ありません。除いて数え直した結果が上の表です。

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国が湿度で決めているのは「部屋」の数字だけです

では、蒸れについて国は何か数字を決めているのでしょうか。

事務所の環境を決めているのは事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)です。湿度についての条文はこうなっています。

事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十八度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。

気温18〜28℃、相対湿度40〜70%。これが国の数字です。

ただし、よく読むと分かるとおり、これは「室(部屋)」の数字であって、椅子の数字ではありません。 規則の全文を検索しても、こうなりました。

出てくる回数
湿度 7回
気温 8回
換気 8回
蒸れ 0回
通気(生地の意味で) 0回
椅子 0回

椅子の張地について、事務所衛生基準規則は何も決めていません。

規則に出てくる「いす」は、立ち仕事の人のためのものでした

ひとつ補足があります。この規則に「いす」という言葉は2回だけ出てきます。ただし、座って働く人の椅子の話ではありませんでした。

(立業のためのいす)第二十二条 事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。

立ち仕事の人が時々座れるように、いすを備えなさい、という条文です。

つまり事務所の環境を決めた規則の中で、いすが出てくるのはこの1条だけで、しかも座り仕事の椅子の話ではありません。デスクワークの椅子については、オフィスチェアのヘッドレストは必要?に書いた情報機器作業のガイドラインのほうが扱っていますが、そちらにも張地や通気性の記述はありませんでした。

布の通気性を測る方法は、ちゃんとあります

ここが今回いちばん伝えたい点です。測れないから数字がないのではありません。

JIS L 1096(織物及び編物の生地試験方法)に、通気性の試験方法があります。A法(フラジール形法)と呼ばれるものです。

項目 内容
試験片 約200×200mmを5枚
条件 圧力差125Pa(1.27cmH₂O)で空気を吸い込む
結果の単位 cm³/cm²·s(1秒間に1cm²を通る空気の量)

数字が大きいほど空気が通ります。この試験は、布団の側地(=中身を包んでいる外側の布)から中身が吹き出さないかを調べたり、涼しさをうたうシャツを評価したりするのに実際に使われています。

同じ方法で椅子の張地も測れます。測っていないだけです。

表示のルールにも、通気性の項目はありません

なぜ測らないのか。表示する義務がないからです。

椅子を売るときに何を表示するかは、家庭用品品質表示法(=日用品に、材料や性能の表示を義務づけている法律)にもとづく雑貨工業品品質表示規程の「二十三 椅子、腰掛け及び座椅子」で決まっています。張り材については、こう書かれています。

張り材の表示に際しては、椅子、腰掛け又は座椅子の表面に使用した材料の名称を示す用語を用いて適正に表示すること。

求められているのは「材料の名称」だけです。「ポリエステル」「合成皮革」と書けば要件を満たします。通気性がいくつかを書く欄はありません。

規程が定める表示項目は、寸法・構造部材・表面加工・張り材・クッション材・取扱い上の注意・表示者名の7つです。この7つに通気性は含まれていません(詳しくはヘッドレストの記事の表にまとめました)。

つまりメーカーが通気性を出さないのは、隠しているからではなく、出す決まりがないからです。出しても比べる相手がいないので、費用をかけて測る理由がありません。

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では、メッシュと布のどちらを選ぶか

数字がない以上、比べ方を変えるしかありません。素材そのものではなく、使い方から決めることになります。

メッシュが向いている場合

  • 背中の汗が気になる(背もたれが面で密着しないぶん、空気は通ります)
  • 座面まで含めてメッシュか、商品ページで確かめられる(背だけメッシュで座面は布、という組み合わせが多いためです)

布張りが向いている場合

  • 冷房の効いた部屋にいる時間が長い
  • 座面の当たりの柔らかさを優先したい

レザー(合皮)を選ぶときに知っておくこと

  • 汗を通さないので、蒸れの点では不利です
  • そのぶん拭き取れます。 汗をかいたあとの手入れは、いちばん簡単です

確認できなかったこと: メッシュ・布・レザーのどれがどれだけ蒸れにくいかを比べた公的なデータは見つかりませんでした。上の整理は、素材の性質から言えることまでです。数字で比べたものではありません。

椅子より先に効くのは、部屋の湿度です

最後に、順番の話をします。

国が数字を持っているのは部屋のほうでした。相対湿度40〜70%です。 そして蒸れは、汗が蒸発しにくいときに起きます。部屋の湿度が70%を超えていれば、どんな椅子に座っていても汗は蒸発しにくくなります。

椅子の張地には数字がなく、部屋の湿度には数字がある。数字のあるほうから直すのが順当です。

事務所衛生基準規則は、測る回数まで決めています。

二月以内ごとに一回、定期に、(略)測定しなければならない

2か月に1回の測定が義務です(一定の条件を満たす場合は、季節を限った測定でよいという但し書きがあります)。会社であれば、この記録を見せてもらえば自分の部屋の実測値が分かります。

寝室の湿度については寝室の湿度は何%がいい?にまとめています。

買う前に確認しておきたいこと

順番に見る項目です。

1. 座面もメッシュか(背だけメッシュの商品が多くあります。座面の張地を商品ページで確かめてください)

2. 商品名に張地が書かれているか3点に1点は書かれていません。 書かれていない場合は仕様表を見ます)

3. 「通気性抜群」に数字が付いているか(付いていれば、それは珍しい商品です。15点しかない主張のうち、数字つきは0点でした)

4. 部屋の湿度がいくつか(40〜70%に入っているか。ここが外れていると椅子では直りません)

5. 汗をかいたあとに手入れできるか(メッシュは埃がたまります。レザーは拭けます)

まとめ

オフィスチェア7,389点のうち、メッシュは2,979点(40.3%)でいちばん多い張地です。

ところが、通気性に触れている商品名は15点(0.2%)だけ。しかも数字が入っているものは0点でした。

布の通気性を測る方法(JIS L 1096のフラジール形法・単位はcm³/cm²·s)はあります。椅子では使われていないだけです。 表示のルールが求めているのは「材料の名称」までで、通気性の項目がありません。

国が湿度で持っている数字は、部屋の40〜70%だけ。 椅子の通気性についての記述は0回でした。

数字のある部屋から直して、椅子は「座面もメッシュか」で選ぶ。 これが、いま手に入る材料でできる判断です。

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この記事の出典

この記事は、通販に掲載されているオフィスチェア7,389点の商品名を機械的に集計し、張地と通気性の表記を数えたものです。制度は、事務所衛生基準規則の条文と、消費者庁の雑貨工業品品質表示規程の本文を取得して語の出現を確認しました。試験方法はJIS L 1096の通気性試験(A法)です。

制度の確認は2026年8月27日、掲載点数の集計は2026年8月20日取得分です。

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