寝室の湿度は何%がいい?国の基準が2つあって数字が違います
そもそも、どんな商品か
この記事で扱うのは、寝室の湿度について国が定めている基準(何%が適切か)です。ビル向けと学校向けで数字が違う理由を扱います。
家庭向けの公的な湿度基準はありません。ここで紹介するのはビルと学校の基準で、家庭にそのまま義務づけられたものではありません。
まず結論だけ
- 国の基準は2つ。ビルは40〜70%で義務、学校は30〜80%で「望ましい」です
- 家庭に基準はありません。ただし厳しいほうの40〜70%が実用的な目安になります
- 温度はどちらも18℃以上28℃以下で一致しています
- 寝具は寝ている間の汗を吸って湿ります。乾きやすさが効いてくる理由です
寝室の湿度について調べると、「40〜60%が理想」「50%前後がよい」と、数字がばらばらに出てきます。どれが根拠のある数字なのかは書かれていません。
そこで法令まで当たったところ、国が定めている湿度の基準は2つありました。 そしてその2つで数字が違います。
さらに、片方は守る義務があり、もう片方は「望ましい」という表現でした。家庭はどちらの対象でもありません。
制度・データは2026年8月7日時点で確認しています。
結論:40〜70%を目安にすれば足ります
先に答えを書きます。
国の基準は次の2つです。
表は横にスクロールできます
| ビル | 学校 | |
|---|---|---|
| 相対湿度 | 40〜 70% |
30〜 80% |
| 温度 | 18〜 28℃ |
18〜 28℃ |
| 位置づけ | 法令の 管理基準 |
「望ま しい」 |
「ビル」は建築物衛生法にもとづく建築物環境衛生管理基準、「学校」は文部科学省の学校環境衛生基準です。
出典:厚生労働省 建築物環境衛生管理基準について/文部科学省 学校環境衛生基準(いずれも確認日 2026-08-07)
温度は18℃以上28℃以下で完全に一致しています。 違うのは湿度の幅だけです。
家庭に基準はありません。 そのうえで目安を決めるなら、厳しいほうの40〜70%を見ておけば、どちらの基準にも収まります。
ビルの40〜70%は、守る義務のある数字です
まず、幅の狭いほうから確認します。
建築物衛生法(正式には「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」)は、一定規模以上の建物を特定建築物として、空気環境の管理基準を定めています。
表は横にスクロールできます
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 浮遊粉じん | 0.15mg/㎥以下 |
| 一酸化炭素 | 6ppm以下 |
| 二酸化炭素 | 1,000ppm以下 |
| 温度 | 18℃以上28℃以下 |
| 相対湿度 | 40%以上70%以下 |
| 気流 | 0.5m/秒以下 |
| ホルムアルデヒド | 0.1mg/㎥以下 |
これは空気調和設備を設けている場合に、おおむね適合するよう空気を調節して供給することが求められる基準です。オフィスビルや商業施設で働いている方は、この環境の中にいることになります。
温度には改正の経緯がありました。 以前は17℃以上でしたが、2022年4月1日から18℃以上になっています。1℃引き上げられた形です。同じ改正で、一酸化炭素も10ppm以下から6ppm以下に厳しくなりました。
なお、この基準でいう空気調和設備とは、浄化・温度調節・湿度調節・流量調節の4つの機能をすべて備えた設備を指します。厚生労働省は「外気導入機能のない家庭用ルームエアコンは、空気調和設備にも機械換気設備にも該当しません」と明記しています。家庭のエアコンは、そもそもこの基準が想定している設備ではないということです。
なぜ学校のほうが幅が広いのか
一方、学校の基準は30〜80%と、上下に10%ずつ広くなっています。
理由は、対象になる建物の設備が違うからだと考えられます。 ビルの基準は空気調和設備(空調)がある建物を前提にした数字です。学校には空調のない教室もあります。設備で調節できない場所に狭い幅を求めても、達成できません。
もう一点、表現も違います。 ビルの基準が管理基準として定められているのに対し、学校のほうは「30%以上、80%以下であることが望ましい」と書かれています。
確認できなかったこと: なぜ40〜70%と30〜80%という具体的な数字がそれぞれ選ばれたのか、その根拠までは、どちらの資料にも書かれていませんでした。
家庭に当てはめるなら、空調のある部屋なら40〜70%、ない部屋でも30〜80%という読み方が自然だと思います。どちらにしても、80%を超えたら明らかに高すぎます。
湿度が高いと、ダニの話につながります
寝室で湿度を気にする理由は、快適さだけではありません。
国がダニの検査を「温度及び湿度が高い時期」に行うと定めているのは、その時期にいちばん多いからです。学校環境衛生基準の検査方法に、こう書かれています。
「温度及び湿度が高い時期に、ダニの発生しやすい場所において1㎡を電気掃除機で1分間吸引し、ダニを捕集する」
そして検査する場所として指定されているのが、保健室の寝具とカーペット敷きの教室です。寝具は、国がダニを測ることにしている場所だということになります。
ダニの数の基準(1㎡あたり100匹以下)と、国が挙げている対策の4つはダニは何匹から多いのかを調べた記事にまとめました。
寝具は、寝ている間に湿ります
湿度の話が寝具に関わるのは、寝ている間の汗を寝具が吸うからです。部屋の湿度が基準内でも、布団の中は別です。
国が挙げているダニ対策は4つあり、そのうち1つが「乾燥」でした。
表は横にスクロールできます
| 対策 | 中身 |
|---|---|
| 寝具の乾燥 | 定期的に行う |
| カバーと シーツ |
掛けたうえで、 使用頻度を考慮し 適切に交換 |
| 掃除方法の改善 | 電気掃除機で 日常的に丁寧に |
| のり付け | 布団の中からの ダニの出現を防ぐ |
出典:文部科学省 学校環境衛生管理マニュアル 平成30年度改訂版(確認日 2026-08-07)
乾燥が独立した項目として挙がっています。 洗う・覆うと並ぶ対策のひとつ、という位置づけです。
だから寝具を選ぶときは、乾きやすさが効いてきます。 洗ったあと乾くのが速ければ、それだけ洗う頻度を上げられます。
ひとつ数値の例を挙げると、ミクロガードは水分率100%から10%になるまでの時間を公表していて、プレミアムが13.5分、綿100%の生地が40.7分とされています(販売元の測定による数値です)。3倍の差があることになります。この数値の条件はミクロガードについて調べた記事で扱いました。
買う前に確認しておきたいこと
1. まず測る
湿度計がなければ、何を買っても効果が分かりません。 数千円で買えるので、対策より先に測るほうが確実です。40〜70%から外れていなければ、湿度は問題ではないことになります。
2. 高いのか低いのかで、買うものが変わります
高すぎるなら除湿、低すぎるなら加湿です。逆方向のものを買っても悪化します。日本の住宅では、冬に低く、梅雨から夏に高くなるのが一般的な傾向です。
3. 寝具は「洗える」「乾く」で選ぶ
湿気は寝具の中にたまります。家庭で洗えるか、乾燥機にかけられるか、何時間で乾くか。 ここは商品ページで確認できます。
4. 数値の測定条件を見る
「乾きが速い」という表現だけでは比べられません。何%から何%まで、何分という条件が書かれているかどうかです。
向いている人/慎重になったほうがよい人
この基準が役に立つのは、湿度対策に何をどこまでやればいいか迷っている方です。40〜70%という線があれば、それ以上やる必要はありません。
梅雨から夏に寝苦しい方も、まず測る価値があります。温度が28℃以下でも、湿度が70%を超えていれば、原因は湿度のほうかもしれません。
慎重になったほうがよいのは、測らずに対策を買おうとしている場合です。 除湿機も、乾燥機も、寝具も、今の湿度が分からないままでは効果を確かめられません。
もう一つは、湿度だけで解決しようとしている場合です。 国が挙げているダニ対策4つのうち、湿度に関わるのは乾燥の1つだけです。掃除と洗濯は別に必要です。
まとめ
寝室の湿度について、公開されている情報はこうなっています。
国の基準は2つあります。ビルは40%以上70%以下で法令上の管理基準、学校は30%以上80%以下で「望ましい」。 温度はどちらも18℃以上28℃以下で一致しています(ビルの温度は2022年4月1日に17℃以上から引き上げられました)。
家庭に基準はありません。 目安を決めるなら、厳しいほうの40〜70%を見ておけば両方に収まります。
そして寝具は、国がダニを測ることにしている場所です。国が挙げている対策4つのうち乾燥が独立した項目として入っているので、寝具を選ぶときは乾きやすさが効いてきます。
まず湿度計で測ってください。 40〜70%に入っていれば、湿度は原因ではありません。
その寝具が洗えるか・乾燥機にかけられるかは、タグの記号で分かります。ただし布団本体には表示の義務がありません。 理由は布団に洗濯表示のタグがないのはなぜかを調べた記事にまとめました。
同じ空気環境でも、温度のほうは基準が一致していました。 ビルも学校も18〜28℃です。ただし睡眠のための室温に、国は数字を出していません。そちらは寝室の温度は何℃がいいかを調べた記事にまとめました。 光については、数値が寝室ではなく日中の側にありました(日中1,000ルクス以上)。そちらは寝室の照明の記事にまとめています。 音は逆に数値があり、夜間の屋外騒音40dB未満でした。そちらは寝室の音の記事にあります。
温度・湿度・光・音の4つを1枚に並べた記事も作りました。何から手を付けるかで迷ったら、寝室の環境は何から整えるかの記事から読むと早いです。
ダニの数の基準はダニは何匹から多いのかを調べた記事に、寝具のカバーの選び方は防ダニカバーの2つの方式を比べた記事にまとめています。
この記事の出典
この記事は、湿度について国が定めている基準を2つとも確認し、数字と位置づけの違いを整理したものです。そのうえで、寝具に関わる部分を学校環境衛生管理マニュアルの記述から拾っています。
すべて2026年8月7日に確認しました。
- 厚生労働省 建築物環境衛生管理基準について(相対湿度40〜70%・温度18〜28℃・2022年4月1日の改正・家庭用ルームエアコンは該当しない旨)
- 文部科学省 学校環境衛生基準(相対湿度30〜80%・温度18〜28℃・ダニの検査時期)
- 文部科学省 学校環境衛生管理マニュアル 平成30年度改訂版(事後措置の4つ・寝具の乾燥)
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