デスクの高さは何cmが正しい?70cmが標準ではなくなった理由
そもそも、どんな商品か
オフィスデスク(学習机・PCデスク)の天板の高さについての記事です。売れ筋に多い70cmという数字がどこから来たのかを扱います。
特定の商品を選ぶ記事ではありません。70cmという数字の出どころと、身長から自分に合う高さを出す方法を扱います。椅子との差(差尺)の合わせ方は姉妹記事にまとめています。
まず結論だけ
- 売れ筋に多い70cmは1971年のJISの数字。1999年に規定は参考扱いになりました
- 業界団体の現在の推奨は72cm。理由は身長・A4化・車いす対応の3つです
- 自分に合う高さは身長×12分の5。70cmは身長168cmの人向けです
- 身長160cmなら約67cm。売れ筋の70cmはほとんどの人に高すぎます
デスクを探すと、売れているのはたいてい高さ70cmです。その数字がどこから来たのかは、商品ページには書かれていません。
調べると、70cmは1971年に決められた数字でした。しかも、その規定は1999年に参考扱いになっています。業界団体はいま、別の高さを推奨しています。
自分に合う高さを出す式も、公開されていました。当てはめると、70cmは身長168cmの人に合う高さです。正しい高さは、売れている商品ではなく身長で決まります。
制度・データは2026年8月4日時点で確認しています。
結論:業界の推奨は72cm、あなたに合う高さは身長で決まります
先に答えを書きます。
日本オフィス家具協会(JOIFA)が推奨しているのは720mm、つまり72cmです。 売れ筋に多い70cmではありません。
72cmが万人向けというわけでもありません。これはオフィス全体で1つの高さに揃えるときの推奨です。個人に合う高さは、身長から計算できます。
式は身長×12分の5です。当てはめると、次のようになります。
- 身長160cm → 約67cm
- 身長168cm → 70cm
- 身長170cm → 約71cm
70cmが合うのは身長168cm前後の人です。それより低い人には、売れ筋の70cmは高すぎることになります。
通販に並んでいる商品のほうは、すでに720mmが多数派です。オフィスコムのオフィスデスク4,454点を数えると、こうなりました。
表は横にスクロールできます
| 天板の高さ | 割合 |
|---|---|
| 720mm | 83.9% |
| 700mm | 11.0% |
それでも売れているのは700mmのほうです。数えた結果はオフィスコムのデスクを数えた記事にまとめました。



以下、その根拠です。
売れ筋の70cmは1971年の数字で、いまは守る義務がありません
デスクの高さの標準は、時代とともに変わっています。JOIFAが変遷を公開していました。
表は横にスクロールできます
| 時期 | 高さ | 経緯 |
|---|---|---|
| 戦後 | 740mm | 米軍規格のデスクが 導入され、 アメリカの標準が そのまま日本の標準に |
| 1971年 | 700mm | 日本人の平均身長に 合わせてJISが規定 |
| 1999年 | — | JISの寸法規定が 参考扱いになる |
| 現在 | 720mm | JOIFAが推奨 |
出典:JOIFA 安全・快適なデスクの選び方(確認日 2026-08-04)
押さえておきたいのは、1999年にJISの寸法規定が参考扱いになっていることです。現在の70cmは「守らなければならない規格」ではありません。売れ筋が700mmのままなのは、1971年の数字が慣習として残っているためだと考えられます。
この経緯はJOIFAが公開しているものです。なぜ1999年に参考扱いになったのか、その理由までは確認できませんでした。

JOIFAが72cmを推奨する3つの理由
JOIFAは720mmを推奨する理由を3つ挙げています。どれも具体的です。
1. 日本人の身長が伸び、外国人の働き手が増えた
1971年当時と同じ方法で計算すると、推奨高さは720mmになると説明されています。基準そのものが古くなった、ということです。
2. 書類がB5・B4からA4に変わった
袖引き出しとは、天板の下に付いている引き出しの列のことです。書類の標準サイズがA4に統一され、その下の段が深くなりました。高さ700mmのままだと、最上段の引き出しが浅くなり、入るものが少なくなります。
720mmなら最上段が20mm深くなり、実用性が上がるとされています。



3. 車いすが入らない
これがいちばん具体的でした。大型の車いすの肘までの高さは、床から670mmです。
高さ700mmのデスクに、厚さ30mmの天板が付いているとします。天板の下の高さは670mmで、車いすの肘と同じ高さです。それ以上デスクに近づけません。
720mmなら、天板の下に車いすの肘が入ります。障害のある方の雇用が広がったことで、この20mmの差が実際の問題になったということです。

自分に合う高さは身長×12分の5。70cmは身長168cm向けです
72cmはオフィス全体で揃えるときの推奨です。個人に合う高さは、JOIFAが公開している2つの式で出せます。座面高とは、床から座面までの高さのことです。
- 座面高=身長×1/4
- 差尺(デスクと座面の差)=身長×1/6
- デスクの高さ=座面高+差尺
まとめると、デスクの高さ=身長×12分の5です。計算すると次のようになります。
表は横にスクロールできます
| 身長 | 座面高 | 差尺 | デスク高 |
|---|---|---|---|
| 150cm | 375mm | 250mm | 625mm |
| 155cm | 388mm | 258mm | 646mm |
| 160cm | 400mm | 267mm | 667mm |
| 165cm | 413mm | 275mm | 688mm |
| 168cm | 420mm | 280mm | 700mm |
| 170cm | 425mm | 283mm | 708mm |
| 173cm | 433mm | 288mm | 720mm |
| 180cm | 450mm | 300mm | 750mm |
売れ筋に多い700mmは、身長168cmの人に合う高さです。 JOIFA推奨の720mmは173cm相当になります。
日本人の平均身長を考えると、多くの人にとって売れ筋のデスクは高すぎることになります。身長160cm前後の方の目安は667mmです。700mmとの差は3cm以上あります。

国は65〜70cm、業界は72cm。ずれているのは動かない机です
ここまでは業界団体の数字でした。国も机の高さについて数字を出しています。 厚生労働省の情報機器作業のガイドラインです。
情報機器作業とは、パソコンなどの画面を見て行う仕事のことです。その職場の環境について、国が示している文書です。
高さ調整ができない机又は作業台を使用する場合は、床からの高さはおおむね65cm〜70cm程度のものを用いることが望ましい。65cm及び70cmがそれぞれ女性及び男性が使用する場合に必要な高さのほぼ平均値となるためである。
高さ調整が可能な机又は作業台を使用する場合の調整範囲は、大部分の作業者の体形に合わせることができるよう、床からの高さは60cm〜72cm程度の範囲で調整できることが望ましい。
出典:情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインと解説(確認日 2026-08-25)
2つの数字を並べると、こうなります。
表は横にスクロールできます
| どこが言っているか | 高さ |
|---|---|
| 厚生労働省 (高さが変えられない机) |
65cm〜70cm |
| 厚生労働省 (高さを変えられる机) |
60cm〜72cmの 範囲で調整できること |
| JOIFA(業界団体) | 72cmを推奨 |
| 売り場の多数派 | 72cmが83.9% |
固定式の机について国が望ましいとしたのは65〜70cmで、業界の推奨と売り場の多数派はその上の72cmです。2cm以上のずれがあります。
どちらが間違いという話ではありません。 高さを変えられる机なら、国の範囲は60〜72cmです。72cmは、その上限にちょうど入ります。
ずれているのは高さを変えられない机のほうです。動かせない机ほど、国の目安から外れた高さで売られていることになります。



もう1つ、このガイドラインは合わせる順番も決めています。
高さ調整が可能な机又は作業台を使用する場合には、椅子の高さを最適に調整した後、机の高さを調整するとよい。
椅子が先で、机があとです。 椅子側の数字は、次の記事にまとめました。
→ オフィスチェアの座面高は何cm?国の目安37〜43cmと机の合わせ方
高すぎるときは、イスを上げて足を支えます
デスクが高すぎる場合、順番は次のようになります。
1. デスクを下げる
高さを変えられるデスクなら、これがいちばん確実です。固定式の場合は変えられません。
2. イスを上げて、足元を支える
デスクが下がらないなら、イスを上げて差尺を合わせるほうが現実的です。イスを上げると、足が床に届かなくなります。JOIFA自身も、こう書いています。
身長の低い方でデスクの高さが720mmは少し高いと感じられる方は、フットレストの使用をおすすめします
足が床につかない状態は、姿勢が崩れる原因になります。公的な労働衛生ガイドラインも、椅子の要件としてこう挙げています。
床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること
イスの調整幅はオフィスチェアの耐久性と選び方を調べた記事にまとめました。
確認できなかったこと: フットレストの適切な高さについて、JOIFAの公式な数値は見つけられませんでした。

奥行きは600〜700mmが今の主流です
高さと並んで迷うのが奥行きです。こちらも変遷がありました。
表は横にスクロールできます
| 時期 | 奥行き | 理由 |
|---|---|---|
| かつて | 700mm | 奥に資料、手前で作業 |
| その後 | 800mm | ブラウン管モニターを 置くため |
| 現在 | 600〜700mm | モニターが薄くなり、 省スペース化 |
600mmを越えた先は手が届きにくく、細かい作業がしにくくなるとされています。奥行き700mmのデスクなら、奥の100mmは「置き場」として使う配分になります。
奥行き600mmのデスクも一般的になってきましたが、省スペースが目的です。モニターを置くと手前が狭くなるので、モニターアームを使うかどうかで判断が変わります。奥行き600mmで何が足りなかったかは、次の記事にあります。
→ モニターアームは要る?机の奥行き600mmでは足りませんでした

デスクにも耐久試験があります
イスと同じように、デスクにもJISの試験基準があります。JOIFAがJIS原案作成団体として関わっているものです。
表は横にスクロールできます
| 試験 | 何を見るか |
|---|---|
| 垂直力に対する 安定性 |
天板の縁に上から力が 加わったとき転倒しないか (JIS S 1202) |
| 持続垂直荷重 | 天板に7日間おもりを 載せて、たわみを比較 (JIS S 1205) |
| 水平力 | 天板の側面から力を 10秒間10回加えて 移動量を測る(JIS S 1205) |
垂直力の試験は、天板に手をついて立ち上がったり、その上に乗ったときを想定しています。持続垂直荷重は、書類などの重さで天板がどれだけたわむかを見るものです。
出典:JOIFA 安全・快適なデスクの選び方(確認日 2026-08-04)

買う前に確認しておきたいこと
1. 高さを変えられるか
固定式か、脚の長さを調整できるか、昇降式か。既製品の70cmは身長168cm向けなので、それより低い方は調整できるものを選ぶ価値があります。
昇降デスクなら必ず下げられる、というわけでもありません。昇降デスク341点を数えた結果があります。下げきっても72cm以上の製品が25%でした。
詳しくは昇降デスクは「下がる高さ」で選ぶという記事にまとめています。



2. 何年もつか
JOIFAの標準使用期間は、机が10年、可動部のある机が8年です。イス(回転椅子8年)より長く設定されています。保証期間でも税法上の耐用年数でもなく、経年劣化による重大事故を防ぐための目安です。
3. ワゴンは下の引き出しから詰める
JOIFAが挙げている注意点です。空のワゴンに上の引き出しから物を入れていくと、転倒の恐れがあります。 下から詰めてください。
4. 部品はあとから買える
デスクの鍵や配線カバーをなくしても、各メーカーから補充部品を買えます。メーカーが分からない場合は、製品に貼られたJOIFAナンバーから調べられます。
向いている人/慎重になったほうがよい人
既製品の70cmで問題ないのは、身長165〜172cmくらいの方です。目安の計算に当てはまります。
72cmを選ぶ意味があるのは、身長173cm前後の方と、袖引き出しに書類を入れたい方、車いすで使う方です。JOIFAが挙げた3つの理由がそのまま当てはまります。
慎重になったほうがよいのは、身長165cm未満の方です。 目安は688mm以下になり、売れ筋の700mmでは高すぎます。イスを上げてフットレストを使うか、高さを変えられるデスクを選ぶか、買う前に決めておいたほうがいい部分です。

まとめ
デスクの高さについて、公開されている情報はこうなっています。
売れ筋に多い70cmは、1971年にJISで決められた数字です。 その規定は1999年に参考扱いになりました。業界団体の現在の推奨は72cmです。
推奨の理由は、身長の変化・書類のA4化・車いす対応の3つです。自分に合う高さは身長×12分の5で計算できます。70cmが合うのは身長168cm前後です。
身長160cmなら67cmが目安です。700mmとの差は3cm以上あります。
デスクを選ぶときは、値段やデザインの前に高さを確認してください。自分に合っているか、合わないなら調整できるかの2点です。あとから変えられない項目です。

- 売れ筋の70cmは1971年の数字で、1999年に参考扱いになりました。業界団体の今の推奨は72cmです
- 自分に合う高さは身長×12分の5です。70cmが合うのは身長168cm、160cmなら667mmで3cm以上低くなります
- 机が高くて動かないなら、イスを上げて足の下を埋めます。買う前に見るのは、値段より先に「高さを変えられるか」です
高さを変えられる机を検討するなら、次の記事もあわせてどうぞ。
天板の下に必要な空間は、次の記事にまとめました。この記事で触れた車いすの670mmと同じあたりの数字になります。
イスの側の基準は、次の記事にあります。8年の標準使用期間とJISの耐久試験です。
具体的な製品の価格と保証条件は、次の記事にまとめています。
この記事の出典
この記事は、業界団体(JOIFA)が公開しているデスク選びのガイドを読んで整理したものです。確認したのは、高さと奥行きの変遷、72cm推奨の理由、JISの耐久試験基準です。「なぜ70cmなのか」という、商品ページには書かれていないおおもとまで調べています。
すべて2026年8月4日に確認しました。
- JOIFA 安全・快適なデスクの選び方(高さの変遷・72cm推奨の理由・奥行き・JIS試験基準)
- JOIFA 安心・安全なイスの選び方(座面高と差尺の計算式)
- JOIFA標準使用期間について(机10年・可動部のある机8年)
- 石川労働局 VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン
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