モニターの高さと距離は?国の指針は「上端が目の高さかやや下」
モニターの高さについて、よく「目の高さに合わせる」と言われます。実際、そう説明している商品ページもあります。
けれど国の指針を読むと、書かれているのは少し違いました。 目の高さに合わせるのは画面の中心ではなく、上端です。しかも「ほぼ同じか、やや下」。
さらに、「パソコン本体の上に置かないように」という一文まで入っていました。よくあるモニター台の使い方が、名指しで避けるべきとされています。
制度・データは2026年8月7日時点で確認しています。
まず結論だけ
- 国の指針は「画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下」。目の高さに合わせる、ではありません
- 視距離はおおむね40cm以上。人間工学の規格では最適600mmとされています
- 「パソコン本体の上に置かない」と、わざわざ書かれています
- ノートパソコンは国自身が「この姿勢をとることは容易ではない」と認めています
結論:上端が目の高さか、それより下です
先に答えを書きます。
厚生労働省の情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインに、こう書かれています。
「ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい」
「おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと」
つまり必要なのは次の2つです。
表は横に長いため、横にスワイプ(PCは横スクロール)してご覧ください。
| 項目 | 国の指針 |
|---|---|
| 高さ | 画面の上端が 目の高さと同じか やや下 |
| 距離 | おおむね 40cm以上 |
出典:厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインと解説(確認日 2026-08-07)
「画面の中心を目の高さに」ではありません。 上端が目の高さなら、中心はそれより10cm以上下になります。多くの人が思っているより、低い位置です。
40cmという数字には理由が書かれています
ガイドラインには、なぜ40cmなのかも解説されています。
「ディスプレイ画面と眼の視距離をおおむね40cm以上としたのは、眼に負担をかけないで画面を明視することができ、かつ、眼とキーボードや書類との距離の間に極端な差が生じないようにするためである」
理由が2つあるのがポイントです。目の負担だけでなく、キーボードや書類との距離の差も考えられています。画面だけを遠ざけても、手元との差が大きくなれば、目の焦点を合わせ直す回数が増えます。
なお、40cmは下限です。人間工学の規格(JIS Z 8515)には、より具体的な数値がありました。
表は横に長いため、横にスワイプ(PCは横スクロール)してご覧ください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 設計視距離 | 400mm以上 |
| 最適視距離 (座位オフィス作業) |
600mm |
| 使う人が 好む範囲 |
450〜750mm |
出典:JIS Z 8515:2002(ISO 9241-5:1998)(確認日 2026-08-07)
最適は600mm、つまり60cmです。腕を伸ばした指先くらいの距離になります。40cmは「これ以上近づけない」という線であって、目標ではありません。
「パソコン本体の上に置かない」と書かれています
高さについて、ガイドラインの解説にはもう一歩踏み込んだ記述がありました。
「ディスプレイが大画面の場合は、画面の上端が眼の位置よりも上になる場合があるが、ディスプレイをパソコン本体の上に置かないようにすること等により、できる限り眼の高さよりも高くならないようにすることが望ましい」
デスクトップ本体の上にモニターを載せる置き方が、名指しで避けるべきとされています。 高さが上がってしまうからです。
同じことは、モニター台や机上ラックにも当てはまります。 台に載せれば必ず高くなります。画面が小さければ台で持ち上げる意味はありますが、大きい画面ではむしろ逆効果になる、という理屈です。
つまり台は「上げるため」ではなく、「合わせるため」の道具です。 今の位置が低すぎるのか高すぎるのかを先に測らないと、どちらに動かすべきかが決まりません。
姿勢についても数値があります
ガイドラインの解説には、望ましい作業姿勢がまとめて書かれています。
「デスクトップ型パソコンで好ましいとされている作業姿勢は、ディスプレイの上端が眼の位置より下になるようにし、視距離は40cm以上確保すること。上腕と前腕の角度は90度以上で、キーボードに自然に手が届くようにする」
さらに、調査研究の結果として3つが挙げられています。
表は横に長いため、横にスワイプ(PCは横スクロール)してご覧ください。
| 起きること | 原因として 挙げられているもの |
|---|---|
| 首のこりや痛みが 増える |
頭の前傾が 大きくなる |
| 肩のこりや痛みが 増える |
腕や手首を乗せる 支持台がない |
| 腕の疲れや痛みが 増える |
手の側屈 (尺側変位)が大きい |
画面が低すぎると頭が前に傾きます。 高さの話が首のこりに直結するのは、この経路です。
なお、視線の角度についても規格に数値があります。 JIS Z 8515では、視線角は水平から下方60°の範囲とされ、リラックスして座った状態の視線は水平からおよそ35°下に傾いている、と補足されています。
ノートパソコンは、国も「容易ではない」と書いています
ここがいちばん実用的な部分だと思います。
ガイドラインの解説に、こう書かれていました。
「一方、ディスプレイとキーボードが一体になっているノート型パソコンを一般の事務机上で使用する際には上述のような姿勢をとることは容易ではないが、上述の『好ましい姿勢』を参考にしながら個人差も考慮した対応が必要になろう」
国自身が、ノートパソコンでは望ましい姿勢をとるのが難しいと認めています。
理由は構造にあります。画面とキーボードがつながっているので、画面を目の高さに上げるとキーボードも上がり、下げると画面も下がります。 両方を同時に満たせません。
だから選択肢は次のどちらかになります。
1. 本体を持ち上げて、キーボードを別に用意する
画面の位置を優先し、キーボードとマウスを外付けにする方法です。スタンドとキーボードの費用がかかります。
2. 外付けモニターを足す
画面を別にして、ノート本体はキーボードとして使うか、閉じてしまう方法です。
どちらにしても、何かを買い足さないと解決しません。 ノートパソコン1台だけで「好ましい姿勢」を作る方法は、ガイドラインにも書かれていませんでした。
買う前に確認しておきたいこと
1. まず今の高さを測る
椅子に座って、目の高さ(床から)と、今の画面の上端の高さを測ります。上端のほうが高ければ下げる、大きく低ければ上げる。測る前に台を買うと、方向を間違えます。
2. 距離も測る
目から画面まで40cm未満なら、机の奥行きが足りていない可能性があります。奥行き600〜700mmが今の主流で、その理由はデスクの高さと奥行きを調べた記事に書きました。
3. 台かアームか
台は高さを上げる方向にしか動かせません。下げたい場合や、前後に動かしたい場合はアームになります。オフィスコムでは、モニターアーム・ディスプレイスタンドのカテゴリに243点、ノートPCスタンド・アームに21点が掲載されていました(デスク周辺用品・確認日 2026-08-07)。
4. 机と椅子の高さが先
画面の高さは、目の高さで決まります。目の高さは椅子の座面高で決まります。椅子が合っていないと、画面をどこに置いても合いません。 座面高の目安は座面高と商品表示のズレを調べた記事にまとめました。
向いている人/慎重になったほうがよい人
台やアームを足す価値があるのは、測ってみて画面の上端が目の高さより明らかに高い、または低い方です。ずれが数cmなら、椅子の高さで調整できます。
ノートパソコンだけで長時間作業している方は、検討する価値があります。国が「容易ではない」と書いている状態を続けていることになります。
慎重になったほうがよいのは、モニター台で「上げよう」としている場合です。 ガイドラインが避けるべきとしているのは、高くなりすぎることです。上げる前に、今の高さを測ってください。
大きい画面を使っている方も同じです。画面が大きいほど上端は高くなるので、台に載せると指針から離れていきます。
まとめ
モニターの位置について、公開されている情報はこうなっています。
国の指針は「画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下」。 中心ではなく上端で、しかも「やや下」を含みます。視距離はおおむね40cm以上で、人間工学の規格では最適600mm、好まれる範囲は450〜750mmです。
そして「ディスプレイをパソコン本体の上に置かないように」と、置き方まで書かれています。台は上げるための道具ではなく、合わせるための道具です。
ノートパソコンについては、国自身が「この姿勢をとることは容易ではない」と認めています。 何かを足さないと解決しない、というのが公的な文書から読み取れる答えです。
買う前にやることは1つです。座って、目の高さと画面の上端の高さを測る。 それだけで、上げるのか下げるのかが決まります。
机の高さはデスクの高さは何cmが正しいかを調べた記事に、椅子の座面高は座面高と商品表示のズレを調べた記事に、天板の下の空間はデスクの下は何cm空いていればいいかを調べた記事にまとめています。
この記事の出典
この記事は、厚生労働省のガイドラインとその解説から、ディスプレイの高さ・視距離・作業姿勢についての記述を確認し、人間工学のJISにある視距離の数値と突き合わせたものです。ノートパソコンについての記述は、ガイドラインの解説にそのまま書かれていたものです。
すべて2026年8月7日に確認しました。